キュウセン


標準和名

キュウセン

学名

Halichoeres poecilopterus (Temminck and Schlegel)

地方名

ベラ(伊豆諸島、全国)、スンバオウトウ・ネコクワズ(八丈島)、シマメグリ(青森)、ギザミ(西日本各地)、クサビ(広島)

分類

スズキ目、ベラ科、キュウセン属

形態

体は細長く側扁する。口吻が前方へ突出する。メスからオスへ性転換する。オスの背部は緑褐色で、胸ビレの後方に黒色斑がある。メスの体色は黄褐色で赤味が強い。オス・メスともに、背頂部と体側中央部に一縦条があり、前者は黄緑色、後者は暗色。背ビレは1基。尾ビレの後端は丸みを帯びて、後方にわずかに突出する。体長25cmに達する。

分布

北海道南部以南の我が国沿岸、台湾、南シナ海に分布する。伊豆諸島では普通に見られる。ベラ科魚類の多くは熱帯~温帯性で、伊豆・小笠原諸島では、このほかに、イラ Choerodon azurio  (Jordan and Snyder)、 キツネダイ Bodianus oxycephalus  (Bleeker)、 キツネベラBodianus bilunulatus  (Lacepede)、 タキベラ Bodianus perditio  (Quoy and Gaimard)など多くの魚種が生息する。

生態

砂地が混じる沿岸の転石や岩礁帯に生息する。ベラ類の中では比較的北方まで分布する。産卵は夏から秋に行われる。卵は球形で、直径は0.6mmから0.8mm。産卵からふ化までは、水温20℃から25℃で20時間程度。ふ化仔魚の体長は1.5mm程度と小さい。動物性のエサを食べ、海底の甲殻類やゴカイの仲間などをとらえる。主に昼間活動し、夜間は砂の中に潜って寝る。

資源の利用と保全

漁業による漁獲は、ほとんど行われておらず、もっぱら地元で消費されている。

調理法

体色や斑紋が鮮やかなので、食べるのがためらわれるが、意外と臭みが無く脂がのった白身魚である。煮魚やフライ、鍋物などに向く。
キツネベラ
キツネベラ
キツネダイ
キツネダイ

イラ
イラ