ソデイカ


標準和名

ソデイカ

学名

Thysanoteuthis rhombus Troschel

地方名

シンジュウイカ,タルイカ,アカイカ

分類

ツツイカ目,ソデイカ科,ソデイカ属

形態

外套膜(体)は筋肉質で砲弾のような紡錘形をしており体長80cm以上、厚さ約5cmに達する。体重約20kgに達する。腕は第3腕を除きやや短い。第3腕の口側の保護膜は広く、支持肉柱が多数有り、「袖」のように見えることから、ソデイカと称される。ヒレは外套膜側縁全長におよび左右を合わせると菱形を呈し、ヒレ幅は外套長の約70%。英名のダイヤモンド・スクイッドはヒレを広げた体型に由来する。頭部は外套膜よりやや小さく両側に開眼型の目を持つ。ソデイカは1科1属1種であり、特徴的な体型や袖状の保護膜から、他のイカと見間違うことは少ない。

分布

全世界の熱帯・亜熱帯の外洋域に生息する。伊豆諸島海域では大島、八丈島、青ヶ島、鳥島で、小笠原海域では父島、母島、聟島で採捕されている。

生態

日本周辺では沖縄海域、日本海側、小笠原海域で漁業が行われている。漁法は一本釣り、延縄、定置網である。日本海側では主に水深100m前後で漁獲されるが、沖縄、小笠原海域では昼間、水深300mから800mの深海で漁獲されている。本種は昼夜深浅行動を行い、昼間は深海に、夜間は表層付近に移動する。大きな群れは作らず、夜間表層を数匹で遊泳する姿が船から観察される。平衡石や軟甲の解析から寿命は約1年と考えられている。小笠原の主漁期は1月から2月だが、卵巣は完全に成熟しておらず、主群は他の海域で産卵するものと考えられる。浮遊卵塊は2月から6月にみられていることから、小笠原海域の産卵は、この時期に小笠原海域に残っている群れによって行われる。胃内容物から判明した小笠原海域の主な餌料はハダカイワシ類、ホタルイカ類である。小笠原のソデイカ漁業は、操業時にアカイカ Ommastrephes bartrami (Lesueur) 、メカジキ Xiphias gladius Linnaeus、メバチ Thunnus obesus  (Lowe) が混獲され、立縄漁法でクロマグロ Thunnus thynnus  (Linnaeus) も漁獲されたことから、現在はメカジキ、マグロ主体の漁業に転換している。

資源の利用と保全

小笠原では漁業調整規則により着業隻数や操業期間が制限されている。日本海側、沖縄周辺では年間1000トンを超える漁獲があるが年変動が大きい。広範囲に生息し、寿命が1年であることなどから資源状態については不明である。

調理法

刺身が一般的、揚げ物、焼き物、炒め物といろいろな料理に使える。財団法人 東京都島しょ振興公社から、小笠原のソデイカを使った「おいしいソデイカ料理」のレシピが発行されている。
ふ化仔イカ
ふ化仔イカ
浮遊卵塊(長さ約1m)
浮遊卵塊(長さ約1m)