ケンサキイカ


標準和名

ケンサキイカ

学名

Loligo edulis Hoyle

地方名

アカイカ(関東),シロイカ・ブドウイカ(西日本),ゴトウイカ(九州)

分類

ツツイカ目,ジンドウイカ科,ケンサキイカ属

形態

外套膜(体)は細長く40cm以上に達し、腹中線上に肉稜がある。ヒレは菱形で長さは外套長の約60%、雄の左第4腕は交接腕化している。成熟した雄と雌では雄が大きい。本種は大型で成熟するタイプと小型で成熟するタイプが知られる。同属のヤリイカ Loligo bleekeri  Keferstein に似るが、ケンサキイカの体型はやや太く、触腕も強く太く、墨汁嚢腹面に発光器があることから見分けられる。ヤリイカの体型はやや細く「槍」と称されるの対して、ケンサキイカはやや太いため「剣先」と称され、これが命名の由来とされている。

分布

本州中部以南、日本海西部以南、西太平洋に生息する。伊豆諸島海域では大島から神津島、三宅島、八丈島に分布する。

生態

伊豆諸島周辺では主に3月から8月に夜間一本釣り、または定置網で漁獲されるほか、桟橋や磯から釣られる。ツツイカ目で標準和名がアカイカ(地方名:ムラサキイカ、バカイカ)という種類もあるが、伊豆諸島でアカイカと言えばケンサキイカのことである。主に水深30mから50m前後の砂地で漁獲されており、卵嚢も一緒に採集されることがあるため、伊豆諸島海域で産卵行動を行っていると考えられる。寿命は約1年で、産卵後に雌雄ともへい死すると考えられる。また、成長速度は雌雄や水温によって異なる。山陰沿岸では秋から冬にかけてブドウイカと呼ばれる外套や腕が太いタイプが知られるが、大島においても冬期にブドウイカタイプのケンサキイカが若干漁獲される。1978年4月の三宅島の調査では、雄の外套長組成は17.4cmから58.0cm、雌は21.6cmから36.5cmで、30cm以上の個体は全て成熟していた。胃内容物は甲殻類(メガロパ幼生)が認められた。大島から三宅島海域では黒潮接岸による高温傾向が、八丈島では冷水塊の波及がケンサキイカ好漁況の要因と考えられている。伊豆諸島海域ではこのほか、ヤリイカ、アオリイカ Sepioteuthis lessoniana  Lesson やスルメイカ Todarodes pascificus  Steenstrup が漁業対象種となっている。

資源の利用と保全

伊豆諸島海域では、漁業対象種として最も重要な頭足類。漁獲量は海況等に左右され、年変動が大きい。2002年の漁獲量は約40tであったが、2003年は約120tであった。

調理法

コリコリとした食感を楽しめる刺身が美味しい。わさびのかわりに青トウガラシで食べるのもまた格別。小さなものは丸のまま煮付けてもよい。味噌やネギ、ショウガ、大葉等を加え細かく刻み、身や腕を小さく切って、一緒に混ぜ合わせたもの(なめろう)もおいしい。そのほか、揚げ物、焼き物等の料理に広く使える。
ヤリイカ(左)とケンサキイカ(右)
ヤリイカ(左)とケンサキイカ(右)
アオリイカ
アオリイカ