アカシュモクザメ アカシュモクザメ

標準和名

アカシュモクザメ

学名

Sphyrna lewini (Griffith and Smith)

地方名

シュモク(伊豆諸島、小笠原諸島)、シュモクザメ(全国)、アカカセ(長崎)

分類

メジロザメ目、シュモクザメ科、シモクザメ属

形態

カナヅチ形の頭部をもつシュモクザメ類は世界に9種あり、英語ではハンマー・ヘッドと呼ばれる。日本近海には、そのうちヒラシュモクザメ Sphyrna mokarran  (Ruppell) 、シロシュモクザメ Sphyrna zygaena  (Linnaeus) 、アカシュモクザメの3種が分布する。いずれも体長3mから4mになり、ヒラシュモクザメ、シロシュモクザメ、アカシュモクザメの順に大きい。頭の形が特異であることを除けば、形態はメジロザメによく似ている。眼には瞬膜があり、噴水孔がない。尾ビレの上葉長が下葉長の約2倍ある。第1背ビレは腹ビレよりも胸ビレに近い。歯は広い基底に三角形に近い尖頭がある。ヒラシュモクザメは頭の前端が凸型になっておらず、しかも中央部がやや切れ込んでいる。アカシュモクザメとシロシュモクザメはともに凸型をしているが、アカシュモクザメには中央部にくぼみがある。これに対して、シロシュモクザメの先端はへこまない。背部は赤みがかった灰褐色で、腹部は淡色。胸ビレおよび尾ビレの先端部は暗色である。

分布

世界中の熱帯、温帯海域に分布する。日本では関東以南。東京では伊豆・小笠原諸島海域に生息する。日本近海にはアカシュモクザメが最も多く、次いでシロシュモクザメ、ヒラシュモクザメの順である。アカシュモクザメの分布は関東よりも南であるが、シロシュモクザメは北海道まで生息する。シロシュモクザメはシュモクザメ類中最も冷海を好む一方で、熱帯海域にも分布する。

生態

比較的水深の浅い沿岸域に生息するが、水深280mでの生息記録もある。また、湾内や汽水域にも出現する。行動は活発で、ときに100個体以上の大きな群れを形成し、大型魚がこれを統率する。メスは体長50cm前後の幼魚を30尾ほど産む。夜間にサメ、エイ類を含む様々な魚類、イカ・タコ類、甲殻類などを食べる。シュモクザメ類は大食漢で、食性についてはいろいろな報告がある。シュモクザメの胃から54個のエイのとげが見つかったとか、体長4メートルのシロシュモクザメが2mのサメを4尾も飲んでいたという記録がある。ハンマー形の特殊な頭部に進化したのは、目や鼻が左右に離れることで、視覚や嗅覚により獲物の方向や距離をより正確に把握するためとされている。サメやエイ類は、全身の骨格が軟骨からなる軟骨魚綱に属し、マダイやコイなど普通の魚が所属する硬骨魚綱の魚とは大きく異なっている。また、コバンザメ類は“サメ”の名前が付いているが、これは硬骨魚綱のスズキ目、コバンザメ科の魚で、サメ類ではない。

資源の利用と保全

マグロ類の延縄漁業でよく混獲される。肉は上質で、高級練り製品の原料となる。ヒレもフカヒレとして上質である。
シュモクザメのエサとなるエイ類(イズヒメエイ)
シュモクザメのエサとなるエイ類(イズヒメエイ)
サメの仲間ではないコバンザメ科のナガコバン
サメの仲間ではないコバンザメ科のナガコバン