マサバ


標準和名

マサバ

学名

Scomber japonicus Houttuyn

地方名

サバ(全国)、ヒラサバ(伊豆諸島、関西、四国、九州)、ホシサバ・ホンサバ(関東)、ムレージ(沖縄)

分類

スズキ目、サバ科、サバ属

形態

体は紡錘形でやや側扁する。背部は青緑色で腹部は銀白色。背部から体側にかけて黒色の虫食い状斑紋が広がる。背ビレは2基でよく離れる。背ビレと臀ビレの後ろにそれぞれ5本の小離鰭がある。尾ビレは深く二叉する。体長50cmに達する。

分布

世界中の亜熱帯、温帯海域に分布する。日本では北海道から沖縄にかけての列島周辺全域に生息する。東京の海域では、主として伊豆諸島北部で漁獲される。マサバに混じってゴマサバ Scomber australasicus  Cuvier も漁獲されるが、こちらは体の横断面がやや丸みを帯び、腹部に多数の暗色小班点があることで区別できる。マサバは伊豆諸島で多く見られるが、ゴマサバは伊豆諸島から小笠原諸島にかけて普通に生息する。

生態

成魚は大群で沿岸、沖合の表層を回遊する。昼間は水深70mから150m層に多いが、夜間は表層に浮上する。産卵期は春から夏で、南の地方ほど早く、九州で3月から4月、東北で5月、北海道で6月頃である。産卵水温は12℃から24℃の範囲で、最適水温は18℃前後である。 卵は球形で直径約0.9mmから1.2mm。ふ化までの所要時間は水温20℃で約50時間。ふ化仔魚の体長は3mm程度。生後1年で体長20cmから28cm、2年で28cmから35cm。3年で35cmから42cmに達する。 ふ化仔魚は小型の動物プランクトンを食べているが、成長するに従って魚食性が強くなる。成魚はイワシ類やアジなどの魚類やイカ類、オキアミ類などを食べる。 日本各地のマサバには、回遊経路の異なる群がある。また、半島や島周りの瀬などに定着する瀬付きの魚群もあり、いわゆる「関サバ」はこの瀬付き群と考えられている。

資源の利用と保全

伊豆諸島では主として一本釣りや定置網で漁獲され、年間十数トン程度が水揚げされている。遊漁の対象にもなっており、毎年夏には防波堤などで体長10cmから30cm前後のサバが多数釣れて、島の住民や観光客を喜ばせている。 日本近海における最近のサバ漁獲量は30万トン程度で、豊漁期であった1970年代の150万トンから大幅に落ち込んでいる。伊豆諸島近海はサバの好漁場であり、現在も他県船を含む多数の漁船が操業している。 伊豆諸島で漁獲されるゴマサバは、現在あまり水揚げされていないが、調理法の工夫などにより今後の活用が期待される。

調理法

「サバの生き腐れ」という言葉があるように、鮮度が落ちやすいので、新鮮な魚を選ぶことが大切である。いわゆる赤身魚で、特に秋には脂がのる。新鮮なものは刺身やシメサバで食べる。塩焼き、煮魚、つみれ汁、揚げ物など何の料理にも向く。また塩干し、みりん干しなどにも加工される。日本近海のマサバ不漁に伴って、最近塩干しなどの加工品に用いられているのはノルウエー産が多い。これらは、日本近海産に比べて背中の虫食い状斑紋が太くて目が荒いので区別できる。
ゴマサバ
ゴマサバ
ノルウェイ産のサバ
ノルウェイ産のサバ