八丈事業所トピックス№42 黒潮大蛇行期におけるクロマグロ漁

八丈事業所トピックス№42 黒潮大蛇行期におけるクロマグロ漁

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【八丈島におけるマグロ漁】

八丈島では曳縄と呼ばれる漁法でマグロ類を漁獲します。近年の八丈島において、この漁法で漁獲されるマグロ類は、キメジと呼ばれるキハダマグロが大部分を占めていました。しかし、2018年以降、これまでほとんど漁獲されることがなかった、30kg以上の大型のクロマグロの漁獲が好調です(写真1)。ここ数年のクロマグロ漁の好調の要因を探るために、1980年以降の八丈島におけるクロマグロの漁獲量を調べてみました。

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【クロマグロの漁獲量】

1980年以降の30kg以上のクロマグロの漁獲量を図1に示しました。グラフから年に10本以上のクロマグロが漁獲されているのは、1980年から1984年にかて、1987年、1991年、そして2018年から2020年にかけてでした。また、その中でも2018年は59本、2019年は45本、そして2020年は3月までの集計ですでに68本と、1980年以降で最も多くのクロマグロが漁獲されていることが分かりました。

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図1 1980年以降の八丈島における30kg以上のクロマグロの漁獲量

※1 水色の部分は大蛇行期間を示す

※2 2020年は3月までの累計値

【黒潮大蛇行の影響】

このように近年、クロマグロの漁獲が好調な要因として、前号でもお伝えした黒潮大蛇行が影響しているのではないかと考えています。黒潮大蛇行は記録が確かな1965年以降、表1に示した計6回起きていることが明らかとなっています。この大蛇行の年と上記のクロマグロが10本以上漁獲された年はおおむね一致しており、特に大蛇行が数年に亘って継続した年にクロマグロが多く漁獲される傾向が見て取れます。

【今後の見通し】

黒潮大蛇行は今後もしばらく継続する見通しです。前号でもお伝えしたように、大蛇行時の八丈島における漁模様は緩やかな潮流の影響で、キンメダイなどの底魚にとっては厳しい海況となります。一方、クロマグロについては好漁が期待できそうです。

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