八丈事業所トピック№46 メダイ幼魚の耳石日周輪を数える

八丈事業所トピック№46 メダイ幼魚の耳石日周輪を数える

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メダイについて

メダイ(図1)は北海道以南の日本各地に分布しており、成魚は水深100~400mの中層部に生息し、全長90cmほどに成長します。八丈島での漁獲量は年間100㌧前後で、島の重要な水産資源のひとつです。体に対して目が大きいことや、うなぎのように体表が粘液で覆われているといった特徴があります。

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図1 メダイ

メダイの幼魚(図2)は海面を漂う流れ藻*1(図3)に身を寄せて生息していることが知られています。八丈事業所では、漁業調査指導船「たくなん」で流れ藻が出現する春先に流れ藻調査を実施しています。しかし、オヤビッチャやイスズミ、ハナオコゼなど流れ藻に集まる生物が数種採集される中、メダイの幼魚は見つかっていません。今回は三重県のモジャコ*2調査で混獲物*3として採集されたメダイ幼魚を用いた耳石の観察結果をご紹介します。

*1:水面を漂う大型の海藻の総称。

*2:ブリの幼魚のこと。流れ藻に着いて生活する。

*3:目的とする種以外の漁獲物。

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図2 メダイ幼魚

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図3 流れ藻(水中ドローンで撮影)

耳石について

耳石(図4)は平衡感覚に関わる組織です。年輪や日周輪*4が形成され、魚の成長や生息環境の記録を読み取ることができるため、耳石を用いた様々な研究が行われています。

*4:幼魚の耳石に1日に1本、同心円状に形成される輪紋構造。

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図4 メダイ幼魚の耳石(左)と日周輪(右)

日周輪の計数

メダイ幼魚の耳石を用いて、日周輪の観察を行い、得られた日周輪数と尾叉長の関係を示しました(図5)。赤丸で示した個体は、尾叉長が6.2cmで日周輪が61本見られたことから、メダイ幼魚は2か月で6cm前後まで成長すると推定されます。また、この個体を採集したのは4月8日であったため、61日前の2月6日に孵化(ふか)したことが推定されます。このように、日周輪を調べることはメダイの成長を知るための重要な手がかりになります。

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図5 メダイ幼魚耳石の日周輪数と尾叉長の関係

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