八丈事業所トピックス No.43 2020年のハマトビウオ漁  

八丈事業所トピックス No.43 2020年のハマトビウオ漁  

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【ハマトビウオ漁について】

八丈島において、ハマトビウオは「春トビ」という通称名で親しまれ、町のシンボルにもなっています。このハマトビウオはイワシと同様、資源量の変動が激しい魚種として知られています。八丈島でも1980年代の半ばから1990年代にかけて不漁となり、漁獲がほとんど皆無となった年もありました。2000年に入って比較的安定した漁獲がありましたが、今年のハマトビウオ漁には再び異変が認められました。

表1.png

【2020年の漁模様】

2010年以降の八丈島におけるハマトビウオの漁獲尾数・漁獲尾数上位3隻の延べ出漁隻数・CPUE(1隻1日当たりの漁獲尾数)を表1に示しました。2020年の漁獲尾数は821尾で、2000年以降最も少なく、過去10年平均のわずか0.2%の値でした。延べ出漁隻数は過去10年で最低の6隻で、CPUEは137尾/隻・日となり、いずれの値も1990年代前半と同等のきわめて低い水準となりました。

2020年と過去10年の漁獲尾数の推移を図1に示しました。ハマトビウオは高い水温を好み、黒潮に乗って産卵のために回遊します。2020年の漁期中は、黒潮の影響を受けてハマトビウオ漁にとって良い海況とされる、高めの水温で推移していました。しかし、八丈島沿岸域でハマトビウオの魚影が目撃されることはほとんどなく、例年では盛漁期である4月においても、漁獲尾数が伸びることはありませんでした。2020年の漁獲尾数が少なかった要因として、魚群の来遊期間が例年よりも極端に短く、来遊した魚群が低密度であったことが考えられます。また、数年前から漁獲量が減少していることから、本格的な不漁期へ突入したと推察されます。

図1.png              図1 2020年から過去10年のハマトビウオ漁獲尾数の推移

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