「みやこ」による沖ノ鳥島海域漁業調査

  7月17~28日まで、12日間の調査を行いましたので、ご報告いたします。

   PDFはこちら大島事業所トピック347号 [258KB pdfファイル]     

沖ノ鳥島とは

 沖ノ鳥島は日本最南端に位置し、東京都小笠原村に属します。東小島と北小島の2つの小さな島を含むリーフから成り、総称して沖ノ鳥島といいます(写真1)。このリーフは、排他的経済水域(200海里水域)の幅を決める基線(低潮線)となっています。ちなみに、最南端は沖ノ鳥島一番地の北小島になります。 

写真1 小島とリーフで形成される沖ノ鳥島

 写真1 小島とリーフで形成される沖ノ鳥島

中層魚礁調査

 平成19年に東京都が沖ノ鳥島周辺に3か所設置した大型中層魚礁について、ソナーを用いて位置の確認を行いました。これらの中層魚礁は、水深約2,000mの海域に設置され、魚礁の本体は水面から50m程度の深さに浮かんでいます。
 周辺で実施した曳縄調査では、カツオやキハダ等を68尾釣獲して標識放流を行いました。過去にここで放流したキハダが、伊豆諸島海域で再捕されたこともあります。

天王星海山でキンメダイ調査

 沖ノ鳥島からさらに90km南下した地点の海底には頂上の水深が430mの天王星海山があります。ここではキンメダイを対象とした試験操業を行い、キンメダイ38尾、ナンヨウキンメ2尾などを漁獲しました。これらの魚は、伊豆諸島のキンメダイと比較するためのサンプルとしました。

そのほかの調査

 沖ノ鳥島のリーフ内におけるサンゴの生息状況を調査しました。一部白化したものや、台風の影響を受けて流されたものが確認されました。
 また、沖ノ鳥島と天王星海山周辺でキンメダイの稚仔魚を狙ったネット調査(写真2)、水温や塩分濃度などを測定する海洋観測を行いました。
 なお、父島入港時には一般公開を実施し、約50名の見学者が訪れました。
 期間中、中国の調査船が沖ノ鳥島海域を航行しているとの情報があり、「みやこ」も調査を継続しつつ付近の警戒にあたることもありましたが、全ての調査を予定通りに実施し、順調な航海を行うことができました。

写真2 稚仔魚ネット(LCネット)投網風景

写真2 稚仔魚ネット(LCネット)投網風景