大島事業所トピックNo.348 平成25年夏の伊豆諸島北部海域の高水温について
神津島・新島で7月、8月の高水温記録を更新しました。
PDFはこちら大島事業所トピック348号 [390KB pdfファイル]
気象庁から2013年8月の四国・東海沖の海面水温は、1985年以降、最も高かったとの発表がありました。そこで、伊豆諸島北部海域での様子を検証してみました。
気象庁からの発表
2013年8月の日本近海の海面水温は平年よりかなり高くなりました(図1)。この要因としては、高気圧に覆われて晴れの日が多かったこと、風が弱く海水の蒸発や下層との混合が少なかったことがあげられています。伊豆諸島の各島においても、この夏は晴れの日が多く、風が強く吹くことが少ない傾向が見られました。
図1 2013年8月の月平均海面水温
(気象庁HPより)
各島の定地水温と海況
大島事業所では、新島、式根島、神津島、三宅島及び御蔵島の各漁協の職員の方々にご協力をいただき、水温観測をしています。
各島ともに7月下旬から8月にかけて、気象の影響を受けて平年よりも水温が高くなりました。8月の平均水温は新島で27.2℃(平年差+2.6℃)、神津島で27.9℃(+2.4℃)、三宅島で28.5℃(+3.0℃)といずれも平年よりも非常に高い水温となりました。特に、7月30日に神津島で28.8℃、7月31日に新島で28.9℃と過去30年間の中で、7月の最高水温を記録しました。また、8月13日には神津島29.4℃、新島29.1℃と、こちらも過去30年間の中で8月の最高水温となりました(図2)。
図2 神津島の定地水温(2013年7月~9月)
このときの黒潮の流れは関東・東海沖をW字状に流れ、蛇行と蛇行の間の頂点部分が三宅島付近に達していました。伊豆諸島北部海域へは黒潮の頂点部分から暖水が波及する海況となりました。このため、より一層の高水温を記録したと考えられました(図3)。
図3 2013年8月13日の海況速報
三宅島から大島にかけて暖水が波及している。
現在、黒潮は遠州灘沖から伊豆諸島海域にかけて大きく蛇行し、伊豆諸島海域は冷水域に覆われています。この蛇行がいつまで継続するか、今後の予報が12月下旬に発表となりますので、こちらもご注目ください。
