平成13年7月9日 東京都水産試験場 大島分場

あれから1年、がんばれ!三宅島漁業

 昨年9月以降、三宅島漁協では復帰後の本格的操業を目指し、静岡県下田、神津島・式根島を基地として底釣り、曳縄、刺網漁業等を三宅島から大野原(三本)、銭州漁場で再開しています。この間、水産試験場では被災した磯根漁場の調査以外にも、沖合キンメダイ漁場の資源調査や定期的な漁場監視を行っていますので近況をお知らせします。


(1)平成12年9月以降の漁獲量

 本年6月までの月別漁獲量と水揚げ報告件数を図1に示しました。漁獲魚種は大部分が底魚類で、カツオ、ケンサキイカが少し含まれています。操業している主力漁船数は23隻ほどですが、水揚げ報告件数は着実に増加し、5月の漁獲量は15トンを超しています(6月は集計途中の数値です)。


図1 避難後の三宅島漁協における水揚量と水揚報告件数

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図1 避難後の三宅島漁協における水揚量と水揚報告件数


曵縄操業中の三宅島漁船

大野原島(三本)で曵縄操業中の三宅島漁船
平成13年5月28日調査指導船「やしお」より撮影


(2)キンメダイ資源調査

 「みやこ」搭載の最新型の計量魚群探知機で大野原海丘周辺のキンメダイ資源調査を行っています。魚群密度、魚体長等を計測し、キンメダイの資源動向や魚群行動を推定します。データはコンピューターに保存され、試験場で解析します。
 また、6月からはキンメダイ再生産への噴火・地震災害の影響を探るために、「みやこ」で、MTDネット(元田式開閉ネット)による水深100mから300mにおける水深別の卵・稚仔魚の採集を始めました。


計量魚群探知機

計量魚群探知機

MTDネット調査中の指導調査船「みやこ」

MTDネット調査中の指導調査船「みやこ」


 (3)調査指導船による漁場監視

 三宅島の漁場環境と漁場保全、漁船による利用状況を調査するため、調査指導船「みやこ」、「やしお」を使用して毎週一回三宅島、大野原島周辺の漁場監視を実施しています。調査項目は「天候、水温、潮流」、「噴煙の様子」、「海岸地形」、「操業船の確認」などです。


みやこ


やしお

噴煙の上がる三宅島周辺の漁場監視と海洋観測を行う
調査指導船 上:「みやこ」、下:「やしお」
(平成13年6月26日撮影)


(4)漁場と資源の回復を図り、漁業の復興を目指す!

 水産試験場では調査船による漁場監視や資源・海洋調査のほかにも、磯根における貝類・海藻類・イセエビ等への噴火による影響調査も行っています。結果は逐一関係者の方々に報告するほか、東京都水産試験場のホームページ(http://www.ifarc.metro.tokyo.jp)にも掲載しています。これからも、帰島後の漁業再開に向けて、災害影響調査や貝類の種苗放流、資源調査等を行い、三宅島漁業の復興を目指した支援を行ってまいります。