平成13年4月10日 東京都水産試験場 大島分場

新島・神津島の地震災害影響調査~海草類の繁茂状況について~


1月17日から2月23日にかけて、新島及び神津島において調査を行いましたので報告いたします。


1.神津島
〈1月17日〉

島東部(白島・長根)及び南部(三浦湾)の潜水調査を行いました。
白島 転石帯は土砂により埋没しており、転石頂部が露出するのみで、付着しているトサカノリ(Meristotheca papulosa)やテングサ(テングサ科藻類の総称)の基部は砂に埋まっていました。


長根 災害前はトサカノリの優良漁場でしたが、従前までの回復には至っていません。トサカノリの幼体は多数見られ、着生量は今回の調査地点中最も良く、藻長も最長でしたが、テングサはほとんど見られず、貝類のギンタカハマが散見されました。


三浦湾 採集したトサカノリの平均藻長は14cmでしたが、テングサは、転石表面に散見できる程度でした。


〈1月24日〉

長浜 島西部(長浜)において素潜りで潜水調査を行いました。転石帯は埋没しており、沢からの土砂流入のよるものと推察されました。手頃な石を反転しましたが、フクトコブシ(Haliotis diversicolor diversicolor)の生息は確認できませんでした。また、砂礫によって岩の表面は削られ、海草類はほとんど生えていませんでした。


2.新島
〈2月23日〉

島の北西部(ミコシタ、モドヒガシ、アジア磯)において潜水調査を行いました。一部海面が白濁している場所もあったが、概ね前回の調査時(平成12年9月6日)に比べ、水中の透明度は改善していました。


モドヒガシ 陸上の土砂が大量に流入し、水深8m付近まで砂地になっており、転石帯は埋没していました。海草類ではハリガネが優先し、アオサやトサカノリの幼体も点在しましたが、テングサは見られませんでした。


ミコシタ 前回の調査時より砂の堆積量が増加した模様です。岩の表面には雑多な海草類が繁茂し、トサカノリ幼体の群落が見られましたが、テングサは見られませんでした。


アマナグチ 陸上・海底とも崩落による被害の形跡は認められませんでした。


アジア磯 水深3m以浅では依然として白濁し、岩の隙間の砂礫は減少しておらず、転石は埋没したままで、岩の所々に流木がからまっていました。


(担当:栽培漁業科、指導船「かもめ」)