島内農産物の地産地消拡大に向けて

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 大島で、稚アユが採集されました。以前から、アユが目撃されたという情報はありましたが、島しょセンターでの採集例はなかったため、本誌で、ご報告いたします。

 採集から種の同定

 平成29年2月25日、大島岡田港内において、稚アユが採集されました。

 採集した岸輝君(大島町立第三中学校二年生)によると「海面を覗いていると、見慣れない魚が泳いでいるのを見つけ、とても不思議に思い、持参した手網ですくった」そうです。その後、大島事業所に持って来てくれました。

 この魚、全長は4cm、黒色素胞が良く目立ち、体色は透明でした(写真1)。一般に透明な稚仔(ちし)魚の総称を「シラス」と呼びますが、その様子は、まさに「シラス」でした。顕微鏡等で観察すると、外部の形態と色素胞の様子、およびサケ目の特徴である脂(あぶら)ビレが存在したことから、アユと同定することが出来ました。

写真1 岡田港で採集された稚アユ

写真1 岡田港で採集された稚アユ 

 

1尾だけじゃない ~中学生の快進撃~ 

 採集者の岸君は、「大島には、まだ稚アユがいるはずだ」という推測のもと、引き続き、島しょセンターの指導のもと、大島の港でアユを探しました。その結果、岡田で7尾、泉津で3尾、波浮で10尾、合計20尾の稚アユを採集することができました。また、いずれの場所でも「30尾以上の群れで泳いでいた」そうです。しかし、元町や野増、差木地では、アユを採集や目視することはできませんでした。

 採集された20尾の稚アユですが、全長は4.0cmから5.6cmの大きさで、透明なシラスから、中には、大人のアユのように、銀白色の体色をした個体までいました。

 以上から、相当数のアユが大島に来遊していること、また、湧水など真水の有無が、どうやら関係していると考えられます。

  

泳いでいる姿を捉えました! 

 岸君の情報をもとに、我々も、調査を行いました。波浮港において稚アユの遊泳する姿を撮影することに成功しました(写真2)。

 東京湾では、稚アユの遡上は、毎年3月頃から始まり、その全長は4cm10cmくらいです。大島という遡上できる河川がない離島に、一体なぜ、アユが来遊するのでしょうか?

 今後の調査において、大島に生息するアユについてさらなる情報が得られましたら、また、ご報告したいと思います。

写真2 波浮港で撮影された稚アユ

写真2 波浮港で撮影された稚アユ