黒潮はC型からN型へ変動し、9月には再びC型となり、黒潮の流路変動による、水温の急激な上昇が確認できました。

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黒潮流路   

 黒潮は4月から6月までは概ねC型で経過し、伊豆諸島北部海域は冷水域に覆われました。6月下旬からは、黒潮流路が北上し、7月にはN型となりました。8月には、小蛇行の東進によってB型から再びC型となり、9月以降はC型で推移しました。

図1

 図1 黒潮流路の代表的なパターン

水温の経過

7、8月の黒潮流路変動に伴い、伊豆諸島北部海域の水温は上昇しました。調査指導船「みやこ」の毎月の定線観測によれば、新島東の8月の表層水温は+9.7℃、100m深でも+6.2℃、7月よりも上昇しています。平年値と比較しても、7月は表層から30m深まで極めて低め(※)、100mから200m深までは低めとなっていましたが、8月には、表層から200m深まで高めから極めて高めとなっており、短い期間で急激に水温が上昇したと言えます。今後は、これらの海況変動が漁況へ与えた影響について調べていきたいと思います。

写真1

 調査指導船 みやこ

図2

図2 St26(新島東)の観測結果(平成27年4月~)

 

※平年差2.5℃以上:極めて高め、1.5~2.5℃:高め、0.5~1.5℃:やや高め、0.5~-0.5℃:平年並、-0.5~-1.5℃:やや低め、-1.5~-2.5℃:低め、-2.5℃以下:極めて低め


「みやこ」第三海区海上保安本部長表彰受賞  

調査指導船「みやこ」は毎月、大島~鳥島までの海洋観測を行っています。この結果はHP等で公表していますが、関係機関にも送付され、研究等に役立てられています。平成27年9月11日に、観測で得られた水温や塩分などのデータを海上保安庁に提供したことに対し、第三海区海上保安本部から感謝状を授与されました。調査船のデータは島しょセンターの研究で利用するだけでなく、他機関においても活用され黒潮の解析や気候変動の研究などに役立てられています。

 

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表彰をうける「みやこ」土屋船長(中央)