平成11年6月24日 東京都水産試験場 大島分場発行

(1)標識タカアシガニを探して!

 大島分場では、このほどタカアシガニ3尾に標識をつけて三宅島沖へ放流しました。
 放流は平成11年5月10日に調査指導船「みやこ」で三宅島阿古沖約1.4海里、水深140m(34°04.81'N,139°27.56'E)の地点で行い、標識はプレート式(C-1から3,白)とスパゲティータグ(ITK-594から596,ピンク)の2重標識をしてあります。
 このタカアシガニ(写真1)は、これまで大島分場の水槽でイサキ・タカベ等と一緒に飼育してきましたが、水温上昇に伴い今後飼育が難しくなるため、放流したものです。放流時の大きさは甲長14.16から16.13cm、体重763から1107gで、漁獲したときとほとんど変わりませんでした。
 この、タカアシガニを再捕された方は大島分場までご連絡下さい。

(写真1)タカアシガニ

写真1 タカアシガニ
Macrocheira kaempferi (Temmink 1836)
学研生物図鑑「水生動物」より引用(一部改変)


(2)ハマトビウオのふ化飼育に成功

 水産試験場では、伊豆諸島に来遊するハマトビウオの資源生態を研究していますが、肝心の年齢査定ができません。年齢は、魚種にもよりますが鱗や耳石に形成される年輪を数えて調べます。ところが、トビウオでは年輪が読みとれません。そこで、ほかの魚種で用いられている耳石に「日輪」に着目しました。これまでの研究でハマトビウオの耳石にもそれらしい模様が見られますが、明らかではありません。このため、人工飼育下でふ化・誕生から耳石に刻み込まれる日輪を追うことにしました。大島分場では、本年3月、八丈分場・調査指導船「たくなん」により採集された受精卵を大島へ運んで、ふ化後1ヶ月まで人工飼育することに成功しました。

(写真2)ハマトビウオの仔魚

写真2 ハマトビウオの仔魚
Cypselurus pinnatibarbatus japonicus
ふ化後7日、全長9mm


 ハマトビウオの卵は比較的大きく、ふ化までの期間が約20日間と長いため、ふ化後すぐに餌を食べ始めます。体長が1cm越えた頃からトビウオらしい姿となり、胸ビレと腹ビレをチョウチョウの羽のように大きく広げ、水面に集まって泳ぎます(写真2、3)。
 今後は、本場資源管理部と共同で、これらの仔魚の耳石に関する研究結果を基に親魚の年齢査定を検討していく予定です。

 (写真3)ハマトビウオの仔魚

写真3 ハマトビウオの仔魚