平成13年2月8日 東京都水産試験場 大島分場

1.黒潮はC型基調で経過

 平成12年12月13、14日に横浜市において漁海況予報会議が開催され、平成13年1月から6月の海況予測が発表されましたので、お知らせします。

海況予測(2001年1から6月)

 今期も昨年と同様に、黒潮はC型基調で推移するでしょう。黒潮は昨年11月後半に潮岬を通過した蛇行の東進によって、一時的にB型流路となりました。現在はC型流路に移行しつつあり、黒潮反流による相模灘への暖水波及がみられています。日本列島南方の人工衛星海面高度観測から、1月には九州南東沖で小蛇行が形成されると予測されました。この小蛇行はこれまでの経験から2から3月には四国沖を東進し、3から4月頃には伊豆諸島海域に達するでしょう。この小蛇行が伊豆諸島海域を東進するのに伴い、黒潮は一時的にB型流路になると予想されます。伊豆諸島海域では、このような小蛇行の東進によって黒潮の流路が大きく変動するでしょう。


黒潮流路パターン
黒潮流路パターン


2.TAC(ハマトビウオ)管理始まる!

すでに皆さんもご存じのとおり、国では国連海洋法条約に基づき平成9年からTAC管理が始まり現在7魚種が指定されています。東京都でもサバの数量配分を国より受けています。今年から東京都独自のTAC管理が行われることとなり、東京都の重要魚種で、資源が大きく減少したハマトビウオがTAC魚種として指定されました。


(1)ハマトビウオのTAC

 都TACは、東京都TAC策定協議会で検討され、都知事により定められます。平成13年のハマトビウオABCは26万尾(下限12万尾、上限78万尾)と算出され、平成13年の最高限度漁獲数量目標は40万尾と設定されました。なお、このTAC・ABCは毎年更新されます。


(2)TACとは?

 TAC(*1)(総漁獲可能量)制度は、社会的・経済的な状況を考慮しながら、漁獲できる量を行政的に定め、持続的な資源維持を図ろうとするものです。この制度には協定制度があり、この中でTAC管理をする上で有効な手段(漁獲サイズ、漁期等)を漁業者の皆さんが自主的に決めることができます。


(3)ABCとは?

 ABC(*2)(生物学的許容漁獲量)は科学的にみて資源を減らすことなく、維持・増加させることのできる漁獲量のことです。水産試験場では、これまでの調査・研究結果から資源量を推定し、ABCを算出します。
 刺し網漁業以外の漁法でトビウオを採捕した場合にも、各漁協に漁獲報告をお願いします。詳しくは東京都農林水産部水産課海洋漁業調整係(03-5320-4850)または水産試験場(03-3433-3253)までお尋ね下さい。


(*1):TAC (Total Allowable Catch)
(*2):ABC (Allowable Biological Catch)


TAC説明会風景(神津島)

TAC説明会風景(神津島)


3.大島でニシキエビ捕獲される!

 平成13年1月19日、波浮漁協漁業者の川崎さんから「珍しいエビが獲れた」と大島分場に持ち込まれました。調べたところ、ニシキエビで、大きさは体長:227.9mm、頭胸甲長:72.6mm、重量:333.7gでした。ニシキエビは腹部・第一触角・歩脚に黄白色の斑紋があるのが特徴で、主に温暖な珊瑚礁域の海域に分布し、イセエビ類中の最大種で大きいものは体長50cm以上になります。過去に神奈川県横須賀市佐島沖で捕獲(平成4年)された例がありますが、大島からの報告例も、非常に珍しいそうです。おそらく、幼生が南方から黒潮等の暖流によって大島に流れ着き、成長したものと考えられます。珍しい魚が見つかった時には水産試験場まで御一報下さい。


ニシキエビ

ニシキエビ
(Panulirus ornatus)