平成12年7月28日 東京都水産試験場 大島分場

利島で「サザエ栽培漁業技術講習会」開かれる!

 いよいよ今年度から、栽培センターで生産したサザエ種苗の放流事業が本格的に始まります。サザエ(Batillus cornutus)はアワビ類(フクトコブシ含む)とは形態や生態が異なるため、取り扱いや放流方法についてもこれまでとは異なります。
 そこで東京都では栽培漁業啓発普及事業の一環として、6月7日、利島において講習会を行いました。水産課は「第4次東京都栽培漁業基本計画」、水試は放流方法、栽培センターは種苗の取り扱いを中心に講習を行いました。忙しいなか熱心な漁業者ら16名が集まって下さり、予定時間を超える程、活発な質疑も行われました。
 また、平成9年に水試が利島西岸域に試験放流したサザエは漁獲サイズに成長しており、放流貝の追跡調査についても漁業者へ協力をお願いしました。今後、新島・神津島においても順次講習会を行う予定です。
(栽培漁業科、調査指導船「かもめ」)


図1 勤労福祉会館での講習会

図1 勤労福祉会館での講習会


サザエの種苗の取り扱い

アワビ、トコブシの種苗と比べると次のような特性があります。

  1. 干出(乾燥)に強い。
     但し、殻の表面が乾くような乾燥はダメージになる。水質の悪い海水中に入れておくより、むしろ直射日光を避けて、適度な温度を保って空気中に放置した方がよい。
  2. ハンドリング(手でいじくること)に強い。
     驚くとふたを閉じるため、筋肉部に傷が付くことが少ない。
  3. 注意点。
     極端な環境条件下(10℃以下の低温、30℃以上の高温、炎天下への放置)では種苗の活力が低下し死亡率は増加する。

放流方法について
  1. 放流方法は、船上からの手まき放流 放流方法・放流サイズ別試験でよい結果が得られている。ザル等で広範囲に均等に撒くようにする。1ヶ所に塊で撒くと、害敵に襲われやすい。
  2. 放流適地は、岩礁帯・転石帯 水深は、10m以浅が望ましい。浅場の方が生存率が高い。砂地が多い場合は放流種苗を砂地へ放流しないよう海底地形を確認しながら行う。やむおえず砂地の多い場所へ放流する場合、潜水放流で確実に岩に付着させる。 餌となるテングサ類・アントクメ(ヒロメ)などの海草類多い場所を選ぶ。

図2 放流種苗(15mm)

図3 サザエ漁獲物測定調査

図2 放流種苗(15mm)
まだ棘はでていない。

図3 サザエ漁獲物測定調査


イサキ稚魚、順調に育っています!

現在ふ化後50日を越えました。秋には大島・新島・神津島で標識を付けて放流する予定です。(資源生態科)


イサキ稚魚


三宅島火山活動・伊豆諸島北部海域の震災被害に際し、心からお見舞い申し上げます。