外洋に面する伊豆大島では、時に珍しい魚が採集されることがあります。島しょ農林水産総合センター大島事業所では、このような珍魚の情報を集め、分布や生態について調査を行っています。本稿では、今年4月から10月までに大島で採集された珍魚8種のうち3種を紹介します。

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オオメメダイ

 オオメダイ

 オオメメダイは全長40cm程になる魚で、南日本やハワイ諸島など東部太平洋の熱帯から亜熱帯に分布しています。深海性で、普段は水深350mほどの岩礁域で生活しています。目が極端に大きく、頭長の3分の1を占めます。肉食性で主に小型の甲殻類を捕食しているとされています。この個体は今年の7月大島近海でタカベ刺網にかかった個体です。

 

アミダコ

アミダコ

 アミダコは太平洋暖海域の表層から中層に分布しています。メスは体長50㎝にも達するのに対し、オスはせいぜい16㎝程度までしか成長しません。また、オスはオオサルパと呼ばれるホヤの仲間の体内で過ごすという大変面白い生態を持っています。写真は今年6月に大島南部の定置網に入網したメスの個体です。東京都では三宅島や新島沖でも発見されています。

 

ミズウオ

ミズウオ

 ミズウオは全長3mにもなる大型の魚で、普段は水深900mから1500mの深海に生息しています。大きな口には鋭い歯が並んでおり、深海の生き物を見境なく丸飲みします。今回採集された個体の胃からはカタクチイワシやテカギイカなどが出てきました(写真)。この個体は今年6月に大島近海で底釣りにより採集された個体で、全長107㎝、体重は1.9㎏でした。
 島しょ農林水産総合センター大島事業所ではこのような珍魚の情報を募集しています。また、採集した個体の一部は標本として当センターで展示、保管しています。興味のある方は是非一度、見学に来てください。