伊豆大島乳ケ埼沖で再捕されたキンメダイ

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平成27年11月30日に乳ヶ埼沖で標識を付けたキンメダイが釣獲されました。このキンメダイは平成19年6月30日に勝浦沖で放流されたもので、8年5ヶ月ぶりの再捕でした。1都3県ではキンメダイ資源保護に取り組んでおり、標識放流の結果は生態学的な情報として役立てられます。今後も標識魚が釣れましたら、大島事業所までご一報ください。

 

標識をつけたキンメダイ   

  

平成27年 11月30日、伊豆大島漁協所属の漁船が、乳ヶ埼沖にて尾叉長42cm、体重1.8kgのキンメダイを釣獲しました(写真1)。キンメダイには標識がついており、標識の刻印から千葉県船から放流された個体である事が分かりました(写真2)。そこで、千葉県に問い合わせたところ、このキンメダイは、平成19年6月30日に勝浦沖の“福島モタレ”で放流された個体である事が判明しました(放流時の尾叉長は28cm)。再捕された個体は、放流から8年5ヶ月(3,075日)が経過しており、この間にキンメダイの尾叉長は14cm成長していました。

写真1

 写真1 再捕されたキンメダイ  写真2 標識

キンメダイの移動回遊の解明

  図1には、今回再補されたキンメダイの放流場所と採捕場所を地図上に示しました。ただし、今回再捕されたこのキンメダイが、8年間この海域に留まっていたのか、定かではありません。伊豆~房総でのキンメダイ標識放流は、昭和32年から行われており、中には伊豆東岸~奄美大島海域(直線で約1,100km)を移動した例もあります。このキンメダイも、8年の内に大移動をし、再びこの海域に戻ってきたのかもしれません。

 キンメダイは、放流場所から非常に離れた海域で再捕される個体がみられる一方で、放流海域で再捕される個体も多く見られます。しかし、移動理由や、移動する個体の割合などははっきりとしていません。今回の再捕から得られる情報は、キンメダイの生態解明に役立てられます。

 最後に、標識魚の報告及び提供をして下さった伊豆大島漁協岡田事業所の皆様、放流時の情報を快く提供して下さった、千葉県水産総合研究センターの加藤正人氏に感謝を申し上げます。

 

図1

 

図1 放流海域と再捕海域の位置関係