沖ノ鳥島で見られた多様な魚

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平成28年6月14~22日に、漁業調査指導船「みやこ」を用い、沖ノ鳥島の漁場生産特性調査を行いました。本調査では、伊豆諸島周辺海域には見られない生物が採集され、東京都海面における生物の多様性が確認されました。

    調査概要

 平成28年 6月14~22日、漁業調査指導船「みやこ」を用い、伊豆大島からおよそ1,600km離れた沖ノ鳥島の、漁場生産特性調査を行いました(図1)。沖ノ鳥島周辺海域では、海洋観測、曳縄調査、底釣調査、IONESS(写真1)を用いたプランクトン採集などを行いました。調査項目は多岐にわたりますが、今回はIONESSによる調査に焦点を当てて紹介します 

図1写真1

図1 沖の鳥島位置

 

  IONESSで採集された多様な魚 

 IONESSは9枚の網がついており、網口のシャッターを開閉する事で、指定した深度でのサンプル採集を可能にしています。今回は、深度500~0mを8層に分けて曳網を行いました。

 深い場所からは、発光器や、特殊な構造をした目を備えている魚類が採集されました(写真2)。一方、浅い場所では、大きなひれやとげを持つ魚類が出現しました(写真3)。海洋生物には、子供時代は表層で生活を送り、流れに乗って生息範囲を広げようとする種が多くいます。写真3の稚魚たちが持つ様な、大きなひれやとげは、表層での生活に適応するためだと考えられています。また、ユニークな形態をしている、ミツマタヤリウオ属の仔魚も採集されました(写真4)。

 本調査の成果のひとつとして、沖ノ鳥島周辺における多様な生物の確認が挙げられます。このことは、沖ノ鳥島周辺、ひいては我が国海面の豊かさを示す一つの指標であると考えられます。

写真2

写真3

写真4