平成11年5月11日 東京都水産試験場 大島分場発行

大島地区のテングサ、草質は良好だが、繁茂量はやや少なくなる見込み。

大島北部地区のテングサ漁場において口開け前のテングサ生育状況を調査し、昨年および最近10年間の平均値と比較検討しました。

 調査は、テングサの着生状況を見るため、4月20、22、26日に大島北部の元町地区3地点(前浜、シゲラ崎、泉浜)、岡田地区4地点(野田浜、灯台下、小口、苗根)、泉津地区4地点(秋の浜、二本松、ゼンマ下、ミミズ浜)の計11地点でSCUBA潜水により1m2の枠取り調査を行いました。(図1)


大島地図

図1 大島

枠取り調査の結果を図2に、また昨年と過去10年間の平均値を表1に示しました。
テングサの着生量は、苗根を除いた全地点で332~1,018gと昨年よりも減少し、泉浜ではテングサ(マクサ、オオブサ)の分布は認められませんでした。また、いずれの地区も過去10年間の平均より少なくなりました。
草長は、苗根およびゼンマ下そ除いた地点では、いずれ昨年より短い結果となりました。しかし、過去10平均値に比べれば、元町地区で短かったものの他地区では長いという結果でした。


図2 枠取り調査結果(着生量の調査地点別前年比)

地区 項目 98 10年間平均 99
元町 着生量(g/m2 787 777 700
草長(cm) 14.8 11.8 10.3
雑草混生率(%) 31.2 39.1 36.3
岡田 着生量(g/m2 1,088 928 793
草長(cm) 17.9 15.6 15.8
雑草混生率(%) 14.7 23.6 6.5
泉津 着生量(g/m2 1,088 848 580
草長(cm) 17.9 15.7 16.5
雑草混生率(%) 14.7 29.9 30.1
平均 着生量(g/m2 1,066 858 689
草長(cm) 17.0 14.6 14.9
雑草混生率(%) 19.2 30.0 21.9

表1 枠取り調査結果(地区別平均)

草質は、全体的にハナ(カギウスバノリ)付、ヌマ付(珪藻の付着)が少なく良好でした。また、雑草の混生率は全体では昨年よりも高いのですが、10年間平均値と比べれば低い結果となりました。

 本年は、草質が良好で雑草の混生率も過去10年間平均より低いのですが、混生量は10年間平均および昨年より少ないことから、大島のテングサの繁茂量は平年および昨年を下回るものと思われます。