小さなダイオウイカが見つかる 伊豆諸島北部では初記載!

     PDFはこちら大島事業所トピック No,372 [259KB pdfファイル]   

 

 神津島にて、珍しいイカが見つかりました。詳しい査定を行ったところ、今まで伊豆諸島北部海域では採捕例がないダイオウイカであることが判明しました。

採集から査定

  平成26年6月3日、神津島長浜沖にて、神津島漁協所属漁船「神津丸」石田竜一船頭が、定置網に見慣れないイカが生きた状態でいるのを見つけ、手網で捕獲しました。捕獲されたイカは真空パックで冷凍保存され、今年になって大島事業所にもちこまれました。

  このイカ(写真1)は、全長1355mm・外套長279mm・体重368.6gでした。体の特徴から、ダイオウイカではないかと推測し、さらに詳しく調べるため、国立科学博物館の窪寺恒己先生(名誉館員・名誉研究員)に査定を依頼しました。

写真1

 写真1 解凍後のダイオウイカ

ダイオウイカとは? 

 ダイオウイカArchiteuthis duxは、ツツイカ目開眼亜目ダイオウイカ科の内、1属1種を構成し、胴体部と頭腕部および本種の特徴となる長い触腕を合わせた全長が10 m以上、体重が数百kgに達する無脊椎動物の中で最大級の生物とされています。日本海側での採捕記録が多く、これまで伊豆諸島北部海域での採捕例はありません。

 

査定結果

 窪寺先生の査定によると、伊豆諸島北部海域では初記録となる「ダイオウイカ」で間違いありませんでした。また、外套長30cm弱と大変小さく、全国的に珍しい若齢個体でした。査定の決め手は、①腕吸盤が2列、②Ⅳ腕がやや扁平である、③比較的小さい鰭が長卵円形であることでした。

  当時の海況を振り返ると、黒潮が南から神津島付近まで北上し蛇行しながら流れていた時期でした(表層水温20.0℃)。もしかしたら黒潮によって、沖合からやってきたのかもしれません。

 

日本初記録のユウレイイカ属の一種

 神津島の珍しいイカの話題をもう一つ。

 平成19年6月3日、神津島漁協所属漁船「幸永丸」浜川祝男さんが釣り上げたメダイ(8kg)の口の中に足のとても長いイカがいることに気づき、当センターに持ち込まれました。

 このイカは、外套長203mm、全長2190mm。触腕だけで長さ1.8m、その先端に発光器がありました。後日、大学に協力してもらい調べたところ、日本初記録のユウレイイカの仲間Chiroteuthis mega(写真2)であることが判りました。

 深海性のイカに関する知見はまだ少ないため、もし、見慣れないイカを見つけた方は、ご連絡をお願いいたします。

写真2

   写真2 Chiroteuthis mega