大島事業所トピック№391 沖ノ鳥島で珍しい魚を採集!(漁業調査指導船「みやこ」沖ノ鳥島海域漁業調査クルーズレポート)

大島事業所トピック№391 沖ノ鳥島で珍しい魚を採集!(漁業調査指導船「みやこ」沖ノ鳥島海域漁業調査クルーズレポート)

漁業調査指導船「みやこ」は、日本最南端に位置する沖ノ鳥島で、毎年魚類生態調査を行っています。令和になり初めての沖ノ鳥島調査を7月に行い、珍しい魚が採集されたので報告します。

沖ノ鳥島での釣獲

7月14日に、沖ノ鳥島北側の水深410m地点で底釣り調査を行いました。ナンヨウキンメやハマダイといった伊豆諸島でもなじみのある魚が釣獲されるなか、黒色と銀色の表皮を持つ、見慣れない魚が釣獲されました。釣獲魚は、尾叉長370mmと比較的小型で、水圧の影響で右側の目が飛び出している状態でした。珍しい魚だと判断し、すぐさま冷凍にして持ち帰りました。

調査から帰った後、三重大学大学院生物資源学研究科の木村清志名誉教授にご協力をいただき、詳しく調べたところ、この魚は、アオスミヤキという和名で、日本での採集例がわずか数例しかない珍しい魚であることが分かりました。

写真1 沖ノ鳥島で釣獲したアオスミヤキ.jpg

     写真1 沖ノ鳥島で釣獲したアオスミヤキ

     (漁業調査指導船「みやこ」の船上で撮影)

アオスミヤキとは?

アオスミヤキEpinnula pacificaは、クロタチカマス科の魚で、大島のソウルフードであるクロシビカマス(大島ではナワキリ、サビと呼ばれています。)と近縁種です(写真2)。大きな特徴は、チラリと口の中からのぞかせる鋭い歯です。     

アオスミヤキは、2017年に学名が変更されたばかりで国内での標本が数個体しかありません。学術的に貴重な魚なので、今回採集された個体は、標本番号FRLM57292として三重大学水産実験所に登録されました(写真3)。さらに調べてみると、アオスミヤキの生息域は与論島、トカラ列島、土佐湾、三重県尾鷲沖、台湾、ハワイ諸島、ニュージーランドとされており、沖ノ鳥島での生息が確認されたのは、今回が初めてとなります。貴重な1尾となりました。

沖ノ鳥島には、知られていない魚類生態がまだまだ存在します。引き続き、沖ノ鳥島調査を続けていきます。

写真2 大島のソウルフード、クロシビカマス.jpg

                 写真2 大島のソウルフード、クロシビカマス

写真3 標本番号FRLM57292として三重大学に登録されたアオスミヤキ.jpg

      写真3 標本番号FRLM57292として

           三重大学に登録されたアオスミヤキ

・ PDFはこちら 事業所トピックNo.391(沖ノ鳥島で採捕した珍しい魚).pdf

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