大島事業所トピック№401 キンメダイ卵・仔稚魚採集調査のご紹介

大島事業所トピック№401 キンメダイ卵・仔稚魚採集調査のご紹介

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大島事業所では、漁業調査指導船「みやこ」(189 t)により大島~鳥島周辺海域において、東京都の重要魚種であるキンメダイの卵・仔稚魚を採集するネット調査を行っています。令和2年5~8月に行った調査でキンメダイ卵が採集されましたので調査概要とともにご紹介します。

調査概要

漁業調査指導船「みやこ」により、観測点st.25~st.34(図1)で月1回の調査を行っています。朝に波浮港を出港し、2~4時間おきに各観測点にて海況の観測とネット調査を行い、南下していきます。深夜や早朝にも調査は続き、翌朝10時頃に最後の観測点St.34に到着、丸1日以上かけた調査が終了すると、やっとゆっくり休むことができます。

ネット調査では、「リングネット」(写真1)というプランクトンネットで海面を水平に曳いて、魚の卵や仔稚魚などの小さな生物を採集します。本調査により、キンメダイの卵・仔稚魚の分布のデータを収集し、キンメダイの初期生活史を解明します。

1.jpg2.jpg左:図1.観測点   右:写真1.リングネット

キンメダイ卵が採集されました

卵は、5月に大島~三宅島、6月に青ヶ島、7月に大島及び八丈島、8月に大島~ベヨネーズ周辺海域において採集されました(写真2)。キンメダイの産卵期は6~10月(盛期は7~8月)とされていますが、本年度は5月から卵の出現が確認できました。さらに、産卵盛期の8月には8つの観測点において卵が採集されており、伊豆諸島周辺海域で広く産卵が行われたことが示唆されました。

これまでの調査においても、キンメダイ卵は5~10月に伊豆諸島周辺海域で採集されましたが、採集観測点、採集個数は調査年によって大きく異なります。今後は、そのほかの要因が卵の出現にどのように関連するのかを調べ、キンメダイ卵の分布に関する知見を深めていきます。

 一方、キンメダイ仔稚魚については、5~8月の調査では採集されませんでしたが、直近では平成30年9月にSt.30においてキンメダイ仔魚1個体が採集されています(写真3)。卵に比べ仔稚魚の採集は極めて少ないため、今後も調査を重ねて分布のデータを収集していきます。

3.jpg写真2.キンメダイ卵:オレンジ色の「油球」が特徴的で、ほかの種の卵と容易に区別できる(直径は1.08~1.25mm)

4.jpg写真3.キンメダイ仔魚:H30年9月にSt.30で採集(全長は約5.6mm)

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