大島事業所トピック№405 沖ノ鳥島周辺海域における漁場生産特性調査~環境DNA調査~

大島事業所トピック№405 沖ノ鳥島周辺海域における漁場生産特性調査~環境DNA調査~

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令和3年10月30日~11月5日、漁業調査指導船「みやこ」により、沖ノ鳥島周辺海域の漁場生産特性調査を行いました。本トピックで、調査の一部を紹介します。

調査概要

令和3年10月30日から11月5日にかけ、漁業調査指導船「みやこ」(189トン)で、伊豆大島からおよそ1,600km離れた、沖ノ鳥島周辺海域の漁場生産特性調査を行いました(図1)。

調査項目は海洋観測、プランクトンネット調査、曳き縄調査、環境DNA調査など多岐にわたりますが、今回は環境DNA調査について紹介します。

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   図1 伊豆大島と沖ノ鳥島の位置関係

 環境DNA調査とは?

環境DNA調査とは、水中に漂うDNA片を収集、 分析することで、周辺にどのような動物がいるか を明らかにする調査です。採水するだけで動物相 を調べることが可能で、簡便なことが特徴です。 当所では、本海域の水産有用種の分布状況を明 らかにするため、環境DNA調査を実施しました。

 環境 DNA 調査の実施

1 採水

採水は、表層のほか、深度50m、100m及び 600mで実施しました。表層からの採水はバケツ を用い、各深度からの採水は「バンドン式採水器」 を用いて行いました(写真1)。

2 ろ過と保存

環境DNA分析を行うためには、サンプル中の DNAをフィルターに収集するためのろ過が必要 となります。サンプル中のDNAは徐々に分解さ れていくため、ろ過は、採水現場でただちに行う か、保存物質(塩化ベンザコルニウム)を添加の うえ冷蔵保存で実験室に持ち帰ったのち行う必 要があります。今回は、携帯ろ過キットを用い、 「みやこ」船上でただちにろ過を行いました(写真2)。 ろ過後のフィルターは、他のDNAが付着しな いよう注意しながら個別包装し、冷凍して事業所 へ持ち帰りました。現在、得られたサンプルにつ いて分析を行っています。

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写真1 バンドン式採水器による採水

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写真2 船上ろ過の様子

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