熱帯産ミドリイガイのお台場における生存水温

 ミドリイガイPerma viridisは、ムラサキイガイMytilus galloprovincialisと同じイガイ科の仲間で、西太平洋からインド洋の熱帯産の付着性二枚貝です。本種は1967年頃に兵庫県で始めて発見され、東京湾では1985年に温排水周辺で確認された外来種です。お台場では、本種の成長した個体がヨーロッパ原産のムラサキイガイに混じって夏期に生存が確認できます(ただし、2004年~2009年の潜水観察)が、水温が16~17℃に低下する11月下旬頃になると本種のみ死亡する様子がこれまでみられました。このことから、底温耐性がかなり低いと考えていました。ところが、お台場で2010年12月8日に実施した底曳網調査の標本残渣を整理していたところ、表層から底層の水温が14℃台であったにもかかわらず、3、4㎝に成長した生貝が発見できました。なお、隣接する横浜港では水温が12℃で生存する越冬事例が2009年に確認されており、もう少し底温耐性の記録が延びるかもしれません

写真1 写真2

 2012年12月にお台場で採集したミドリイガイの生貝(左)

 殻が開いた状態の死亡貝(2008年晩秋)(右)

平成23年12月8日内湾水質調査結果 

 

St.1 羽田洲

St.2 羽田沖

St.3 15号地

St.4 三枚洲

St.5 お台場

調査開始時刻

9:26

9:58

8:44

8:23

10:35

調査終了時刻

9:40

10:17

9:01

8:38

11:58

底曳開始緯度

N35 31 51.29

N35 33 25.60

N35 36 46.86

N35 37 19.07

N35 37 44.91

底曳開始経度

E139 47 37.93

E139 47 45.73

E139 50 15.69

E139 51 20.46

E139 46 15.64

底曳終了緯度

N35 31 51.15

N35 33 25.02

N35 36 46.23

N35 37 17.79

N35 37 44.39

底曳終了経度

E139 47 39.41

E139 47 47.16

E139 50 14.43

E139 51 20.13

E139 46 14.16

曳網距離(m)

36±3

39±3

36±3

39±3

39±3

天候

風向

NNE

NE

NE

N

N

風速(m/sec)

2.7

3.4

5.7

5.0

1.0

風力

2

3

4

3

1

気温(℃)

10.3

10.0

9.5

9.5

10.0

実測水深(m)

3.3

5.5

5.9

4.3

3.4

透明度(m)

3.0

2.9

3.4

2.8

3.9

水色

10GY3/4
暗緑色

5G2.4/3
暗緑色

10GY3/4
暗緑色

10GY3/4
暗緑色

5G2.4/3
暗緑色

水温
(℃)

表層(0.5m)

13.95

13.49

15.14

14.37

14.69

底層(B-1m)

14.14

15.82

15.80

15.11

16.12

塩分

表層(0.5m)

26.1

23.2

29.0

29.2

27.2

底層(B-1m)

27.7

30.2

31.7

31.2

29.5

DO
(mg/l)

表層(0.5m)

7.14

6.89

5.78

7.04

5.62

底層(B-1m)

6.94

4.96

5.41

6.89

4.89

DO
(%)

表層(0.5m)

81.4

76.4

68.7

82.5

65.5

底層(B-1m)

80.2

60.3

66.3

83.0

59.6

pH

表層(0.5m)

7.95

7.72

7.91

8.01

7.82

底層(B-1m)

7.96

7.94

8.01

8.06

7.89

濁度

表層(0.5m)

1.8

1.9

2.1

2.1

1.1

底層(B-1m)

1.5

3.4

7.1

2.2

1.5

電導度
(mS/cm)

表層(0.5m)

32.2

28.6

36.3

35.9

34.0

底層(B-1m)

34.1

38.3

40.0

38.9

37.8