平成29年6月 お台場海浜公園で行った環境学習とカタクチイワシ

      島しょ農林水産総合センターでは、平成29年6月3日にお台場海浜公園で開催された「東京ベイ・クリーンアップ大作戦※」に参加し、そこで行われる水生生物観察会を担当しました。今回は小型の地曵網を使って、浜の浅場に集まったマハゼ(写真1)などの稚魚を採集しました。採集した生物は展示用の水槽に移して観察を行うとともに、パネルなどを使って東京湾での生息状況や生態についても説明を行いました。当日は、今春生まれたばかりのマハゼAcanthogobius flavimanusが多く採集されました。また、参加者が清掃作業中に採集したアカクラゲChrysaora pacificaが注目を集め、身近な危険性物の一例として紹介させていただきました(写真2)。

※(公財)港区スポーツふれあい文化健康財団が実行委員会事務局となり、「東京港を泳げる海に!」のスローガンのもと、清掃活動および啓発活動を行っています。

 

写真1 採集したマハゼ(全長5~7cm) 写真2 アカクラゲの展示

写真1 採集したマハゼ(全長5~7cm)  写真2 アカクラゲの展示

 

  

 平成29年6月12日に、全長約5cmのカタクチイワシEngraulis japonica(Houttuyn)の稚魚が採集されました(写真3)。本種は小型底曳網による調査において、春から初夏にかけてよく採集され、約4年の寿命で15cmほどに成長します。カタクチイワシは我が国の重要な水産資源ですが、近年は減少傾向にあります。また、本種は私たちの食用魚となるだけではなく、ブリやマグロなどの大型魚の餌生物としても大切な生き物です。東京湾には、潮流や水温などの影響でカタクチイワシの大きな群れが周辺の沿岸域から入り込み、これらの群れを追った大型魚も東京湾の奥まで入り込むことがあります。平成25年11月にはSt.1近くの羽田空港D滑走路わきの多摩川河口内で、カタクチイワシを追って波しぶきを立て、狂奔状態で遊泳するブリ(写真4)の姿と、海面付近を舞うカタクチイワシの銀鱗が観察されました。東京湾奥では、大都会でありながら、このような光景に出くわすことがあるのです。

 

写真3 カタクチイワシ稚魚 写真4 ブリが立てた波しぶき

写真3 カタクチイワシ稚魚       写真4 ブリが立てた波しぶき
 

図1 調査地点         

図1調査地点

 

平成29年6月12日内湾水質調査結果 

 平成29年6月12日内湾水質調査結果.xls [38KB xlsファイル] 平成29年6月12内湾水質調査結果