多摩川下流におけるシラス鮎の分布

 アユは、木の葉が色づく秋に川の砂礫上に産卵します。ふ化した仔魚は、餌の豊富な東京湾に流下し、稚アユに成長して遡上する春までの半年近くを湾で過ごします。体形がイワシ類のシラスに似ているため、シラスアユとかシラス期のアユと呼ばれています。
 今回、多摩川河口から上流約11kmのガス橋(新幹線が通過する鉄橋より一つ下の橋)までの水域で行ったシラスアユ調査の概要を紹介します。なお、河川内の干潟では小型地曳網、河川の中央ではソリネットを用いて調査を行いました。

ソリネットによる採集風景

写真1 ソリネットによる採集風景

採集物

写真2 採集物

卵黄をもつ5~6㎜の仔魚

写真3 卵黄をもつ5~6㎜の仔魚

 図1にアユの月別・体長組成を示しました。平成19年12月は卵黄をもつ仔魚から30㎜に成長したアユが河川の中央(以下、河川と呼ぶ)でまとまって採集されました。翌年の1月以降は河川内の干潟で僅かに採集されただけでした。一方、平成20年12月は前年と同様に卵黄をもつ仔魚が河川で採集されましたが、20㎜前後に山のある組成を示したのは翌年の1月からで、前年1月とは異なり、河川で主に採集されました。2,3月は干潟で主に採集されましたが低水準でした。以上から、アユは20㎜頃から干潟に移動し始め、冬期の1,2月には主群は河川を離れ河口や内湾の浅場へ分散・移動するものと考えられます。

アユの体長組成と採集個体数

図1 アユの体長組成と採集個体数(河川中央は青色、干潟は赤色で表す)

平成21年3月11日 内湾水質調査結果

水質調査結果