東京湾奥のマハゼの生態について

 東京湾で通称ハゼと呼ばれるマハゼAcanthogobius flavimanusは、「江戸前のハゼ」と呼ばれ、釣りの対象魚として、また天ぷらなどの食材として貴重な魚です(写真1)。晩秋になると、運河や川にのぼっていたマハゼも湾奥の浅場にいた個体とともにやや深場へと移動し、産卵のための準備に入ります。マハゼの産卵様式は、遊泳性の多くの魚のように海中に卵を産み落とすのではなく、水深が10mより浅い砂泥底に1mほどの巣穴を掘り、その巣穴の上面に雌が卵を産み付けます。雄は卵のふ化がスムーズに進むように巣穴を見守ります。そのため図1に示すように、年明けの産卵期になる頃から雄の採集比率が極端に低下します。また、孔から顔を出す顎が張り出した雄の姿をみることができます(写真2)。卵からかえったマハゼの仔魚はしばらく遊泳したあと、湾奥の浅場に着底し、成長しながら川をさかのぼるものや運河に入るもの、湾奥に残るものなど様々です。

 なお、遊泳期のマハゼの仔魚は、早い年では1月下旬頃にあらわれますが、通常2月頃からみられ、3、4月にピークを迎えます(写真3)。

写真1 写真2

 写真1 マハゼの成魚           写真2 巣穴から顔を出すマハゼの雄

写真3 図1

写真3 遊泳期のマハゼの仔魚        図1 マハゼの雌雄比率の月別変化

  (写真上の一目盛は1㎜)

 

平成25年1月24日 内湾水質調査結果 

 

St.1 羽田洲

St.2 羽田沖

St.3 15号地

St.4 三枚洲

St.5 お台場

調査開始時刻

9:11

10:21

11:30

12:20

13:35

調査終了時刻

9:45

10:45

11:58

12:52

14:10

底曳開始緯度

N35 31 51.3

N35 33 22.6

N35 36 47.2

N35 37 20.8

N35 37 45.7

底曳開始経度

E139 47 39.1

E139 47 50.6

E139 50 16.8

E139 51 22.3

E139 46 15.9

底曳終了緯度

N35 31 51.0

N35 33 22.5

N35 36 47.0

N35 37 20.5

N35 37 44.9

底曳終了経度

E139 47 40.3

E139 47 51.8

E139 50 15.6

E139 51 23.5

E139 46 15.1

曳網距離(m)

31.47

30.23

30.7

31.47

31.77

天候

曇時々晴

風向

N

N

N

N

N

風速(m/sec)

1.4

3.5

0.9

1.0

4.7

風力

1

3

1

1

3

気温(℃)

7.0

8.1

9.3

10.2

11.5

実測水深(m)

3.9

4.7

5.3

4.3

3.3

透明度(m)

2.6

1.7

2.3

2.9

2.1

水色
(フォーレルウーレ・水色計)

17

19

18

17

18

水温
(℃)

表層(0.5m)

8.8

9.4

9.6

9.7

11.2

底層(B-1m)

8.8

9.2

9.4

9.5

10.8

塩分

表層(0.5m)

27.2

21.8

27.7

28.6

27.6

底層(B-1m)

28.0

27.4

28.3

29.5

27.8

DO
(mg/l)

表層(0.5m)

9.2

9.9

10.0

9.3

9.8

底層(B-1m)

9.2

9.8

10.4

10.1

10.4

DO
(%)

表層(0.5m)

97.4

101.4

109.1

102.2

109.3

底層(B-1m)

98.1

103.7

110.9

111.7

116.0

pH

表層(0.5m)

8.33

8.02

8.16

8.19

8.14

底層(B-1m)

8.35

8.02

8.19

8.17

8.13

濁度

表層(0.5m)

4.0

5.0

4.0

3.0

4.0

底層(B-1m)

5.0

6.0

4.0

3.0

5.0

電導度
(mS/cm)

表層(0.5m)

30.28

25.49

32.11

33.49

33.51

42.39

34.84

43.09

44.11

42.70

底層(B-1m)

31.40

31.90

33.21

34.45

33.71

43.70

42.75

44.31

45.49

42.97