羽田沖で採集された外来種のウスカラシオツガイ

 東京湾奥の浅場で底曳き網による調査を行うと、羽田沖を中心に、殻長が数ミリほどで楕円形をした二枚貝の稚貝が多数入網します。しかし、東京湾奥の厳しい環境では成貝になるまでに多くのものは死んでしまうため、これまで種名を明らかにすることができませんでした。ところが、平成23年5月に羽田沖で行った調査で、稚貝から成貝までの様々なサイズの個体が採集されたことで、ようやくこの二枚貝はウスカラシオツガイであることがわかりました。

 ウスカラシオツガイは、殻長5ミリ程度の大きさでは、在来種のシオツガイPetricolius aequistriatusに良く似ており、貝殻の形は楕円形をしています。しかし、殻長10ミリほどになると、貝殻の形は一気にいびつになり、様々な形をみせるのが本種の特徴です。(写真1)

 本種は現在、①イワホリガイ科イワホリガイ属に属し、学名はPetricola sp.と属名までの表示、②原産地は不明、③平成14年に開催された日本貝類学会では、「ウスカラシオツガイと正式に公表され和名として定着したといえる」と報告されています(岡本2008年、東京貝類同好会報ひたちおび 第109号)。

 なお、本種の採集記録は昭和60年の大阪湾が本邦初で、東京湾では平成4年に千葉市の稲毛海浜公園で、また近年では京浜運河でも採集されています。

 写真1左写真1右

   写真1 大小さまざまなウスカラシオツガイ(写真下の一目盛は1㎜)

 

平成24年11月13日 内湾水質調査結果

 

St.1 羽田洲

St.2 羽田沖

St.3 15号地

St.4 三枚洲

St.5 お台場

調査開始時刻

8:58

10:11

11:17

12:05

13:20

調査終了時刻

9:25

10:35

11:50

12:30

13:45

底曳開始緯度

N35 31 51.3

N35 33 24.6

N35 36 45.2

N35 37 19.0

N35 37 46.0

底曳開始経度

E139 47 38.4

E139 47 51.8

E139 50 16.2

E139 51 18.5

E139 46 15.9

底曳終了緯度

N35 31 38.4

N35 33 25.3

N35 36 44.8

N35 37 18.2

N35 37 46.7

底曳終了経度

N139 47 38.9

E139 47 52.5

E139 50 15.1

E139 51 19.1

E139 46 16.8

曳網距離(m)

30.43

27.8

30.2

28.9

31.21

天候

風向

E

E

SE

SE

W

風速(m/sec)

2.0

2.0

1.5

1.0

6.9

風力

2

2

1

1

4

気温(℃)

14.5

17.4

18.9

19.6

16.7

実測水深(m)

3.7

5.2

4.8

4.0

3.3

透明度(m)

2.7

2.5

1.9

2.6

2.1

水色
(フォーレルウーレ・水色計)

17

17

18

17

18

水温
(℃)

表層(0.5m)

16.9

17.0

18.0

17.6

18.6

底層(B-1m)

17.4

18.0

18.0

18.2

18.9

塩分

表層(0.5m)

26.4

25.5

26.2

22.0

27.6

底層(B-1m)

28.3

30.0

29.7

31.4

29.4

DO
(mg/l)

表層(0.5m)

6.1

5.8

5.0

6.4

3.9

底層(B-1m)

6.1

5.9

6.0

5.3

3.5

DO
(%)

表層(0.5m)

76.1

72.4

63.5

79.3

51.1

底層(B-1m)

77.1

76.9

78.2

69.6

46.2

pH

表層(0.5m)

7.68

7.66

7.78

7.89

7.60

底層(B-1m)

7.81

7.95

8.02

8.04

7.75

濁度

表層(0.5m)

2.0

3.0

4.0

3.0

2.0

底層(B-1m)

2.0

3.0

3.0

2.0

1.0

電導度
(mS/cm)

表層(0.5m)

34.85

33.72

31.78

29.90

37.63

41.07

39.81

40.39

34.14

42.90

底層(B-1m)

37.43

40.08

39.63

41.92

40.23

43.69

46.09

45.59

47.99

44.99