東京湾の浅場に着底した2枚貝の子供たち

 東京湾に残された砂泥域に生息する2枚貝が成熟して放卵放精し、受精・ふ化→浮遊期幼生の分散→浅場への着底を経て、写真のような稚貝に成長します。しかし、今の東京湾奥では移動性の低いこれらの2枚貝は、出水時の河口攪乱や、貧酸素水塊の影響で大量に死亡するケースが観察されます。東京湾の再生が国と8都県市により取り組まれている中、その生残実態を的確に把握することは、今後の対策を考える上で大切です。そのための標本整理をスタートさせましたので、一端を紹介します。
 上段の写真は、調査地点で入網した木片混じりのゴミや、貝殻、アミ類などのプランクトンの中から、調査研究対象となる2枚貝や甲殻類などの選別・分類・測定を行っている様子です。下段の写真は、葛西海浜公園沖(三枚洲)の標本整理中に出現した稚貝です。味噌汁でよく使うアサリRuditapes philippinarum(Adams et Reeve)、剥き身で販売されるシオフキMactra veneriformis Deshayes in Reeve、寿司屋で青柳と呼ばれるバカガイMactra chinensis Philippiの3種です。1~3㎜程度の小さな個体ですが、親貝の特徴がそれぞれ出始めています。

標本の選別

標本の分類

写真1~2 標本の選別と分類・測定

 

稚貝

写真3 上段はアサリ、下段左はシオフキ、下段右はバカガイ

注:下の白いプレートの一片は1㎜

 

平成22年2月15日 内湾水質調査結果

内湾調査結果