荒川におけるヤマトシジミの水深別・生息状況

   荒川下流の砂泥域ではヤマトシジミが増殖し、“シジミ漁”が盛んに行われています(本HP平成25年12月参照)。今回、環境が厳しくなる夏秋期におけるヤマトシジミの深度別・分布量と全硫化物(TS:㎎/g乾泥)との関係をみるため、9月24日と同30日に河口上流約5kmの小松川橋付近で川を横切るように泥干潟から流心部にかけて調査を行いました。ヤマトシジミの計数とTS測定のための底泥採取は4回行いました(図1~2)。

   その結果、ヤマトシジミは水深2m付近までが多く、3m付近から激減し、4m以深では全くみられませんでした(図3)。一方、TSは2~3m付近が最も低く、流心部に向かう4m以深で一気に高くなり、3mまでとは比較にならないほど厳しい環境であると判断されました。なお、塩分や溶存酸素量などの環境要素も関わってきますが、いずれにせよ当該水域では3m付近が本種の生息限界域であるようにうかがえます。

   したがって、河口域におけるアサリなど二枚貝の生息場の確保と同様の視点から、浅場の保全が大切になってきます。

 

   図1図2

図1 採集したヤマトシジミ         図2 エクマンバージ型採泥器

                       (縦横15㎝)  

   

 図3

図3 海面補正した水深別のヤマトシジミ採集数とTS値  

 

平成26年2月13日 内湾水質調査結果 

    St.1 羽田洲 St.2 羽田沖 St.3 15号地 St.4 三枚洲 St.5 お台場
調査開始時刻 10:45 11:23 9:48 9:29 11:59
調査終了時刻 11:00 11:37 10:15 9:43 12:11
底曳開始緯度 N35 31 53.9 N35 33 28.0 N35 36 46.2 N35 37 19.0 N35 37 45.3
底曳開始経度 E139 47 35.5 E139 47 47.0 E139 50 15.3 E139 51 24.4 E139 46 15.0
底曳終了緯度 N35 31 53.3 N35 33 27.8 N35 36 46.9 N35 37 19.9 N35 37 44.5
底曳終了経度 E139 47 36.7 E139 47 48.4 E139 50 16.5 E139 51 25.4 E139 46 14.1
曳網距離(m) 35±3 35±3 36±3 36±3 34±3
天候
風向 ENE E E NE E
風速(m/sec) 2.3 3.4 3.3 3.6 2.3
風力 2 3 2 3 2
気温(℃) 6.3 5.7 6.5 4.6 5.5
実測水深(m) 4.1 6.8 6.0 4.4 3.1
透明度(m) 3.6 2.8 2.1 2.3 2.9
水色 10GY3/4      暗緑色 10GY3/4      暗緑色 10GY3/4      暗緑色 10GY3/4      暗緑色 10GY3/4      暗緑色
水温(℃) 表層(0.5m) 8.69 8.00 9.16 8.95 9.57
底層 (B-1m) 8.67 9.01 9.34 9.60 9.66
塩分 表層(0.5m) 31.2 26.8 30.7 31.1 31.2
底層 (B-1m) 31.3 31.4 32.0 32.1 31.2
DO(mg/l) 表層(0.5m) 8.77 9.00 8.18 8.32 7.95
底層 (B-1m) 8.39 8.38 8.32 7.69 7.94
DO(%) 表層(0.5m) 92.1 90.5 86.5 87.8 85.2
底層 (B-1m) 88.1 88.8 89.1 82.9 85.2
pH 表層(0.5m) 8.14 8.02 8.10 8.13 8.09
底層 (B-1m) 8.11 8.13 8.15 8.13 8.09
濁度 表層(0.5m) 1.5 1.6 3.4 3.1 1.8
底層 (B-1m) 1.8 2.1 4.1 9.0 2.7
電導度(mS/cm) 表層(0.5m) 33.2 28.5 33.2 33.3 34.0
底層 (B-1m) 33.3 33.7 34.6 34.8 34.1

 

 

 調査側点図

 調査側点図