2010年~2012年 若洲海浜公園沖の二枚貝と甲殻類の消長

 若洲海浜公園沖水深5~6mの浅場で毎月1回、小型底曳網による生物採集を行っています。今回、二枚貝と甲殻類1種の標本を分類・整理しました(表1)。その結果、当該水域の泥分率の高さ(90%以上、硫化物が発生しやすい)を反映するように、環境悪化に比較的強いといわれるシズクガイとチヨノハナガイの2種が優占しました。他に、潮干狩りで人気の高いアサリや、やや深場に生息し寿司ネタになるサルボウガイ、アカガイをはじめ、東京湾で1998年に初確認された北米原産のホンビノスガイなどが採集されました。

   なお、2010年夏秋期のサルボウガイとホンビノスガイ、2011年秋期のチヨノハナガイ、2012年秋期のホンビノスガイを除けば、概ね植物プランクトンの増殖が活発になる春期以降に増加し、貧酸素化が顕著となる8~9月頃に減少又は消滅する傾向がみられました。一方、甲殻類のイッカククモガニも、二枚貝と同様に9月にほぼ消滅するなど、当該水域の生息環境が甲殻類にとっても厳しいことがうかがえました。

 

   貝類写真

  写真1  左より:アサリ、サルボウガイ(左)とアカガイ、ホンビノスガイ、マテガイ、チヨノハナガイ、シズクガイ   

      注;写真の一目盛りは1㎜

 

              平成25年9月2日 内湾水質調査結果 

 

 

St.1 羽田洲

St.2 羽田沖

St.3 15号地

St.4 三枚洲

St.5 お台場

調査開始時刻

10:36

11:34

9:40

8:38

12:28

調査終了時刻

11:15

12:07

10:11

9:20

13:01

底曳開始緯度

N35 31.872

N35 33.470

N35 36.784

N35 37.256

N35 37.767

底曳開始経度

E139 47.622

E139 47.763

E139 50.265

E139 51.339

E139 46.259

底曳終了緯度

N35 31.864

N35 33.460

N35 36.788

N35 37.238

N35 37.754

底曳終了経度

E139 47.644

E139 47.782

E139 50.287

E139 51.348

E139 46.241

曳網距離(m)

35±3

36±3

35±3

35±3

37±3

天候

風向

S

S

S

SE

S

風速(m/sec)

7.5

7.6

1.8

2.1

4.2

風力

4

4

2

2

3

気温(℃)

29.3

30.2

30.6

30.1

31.8

実測水深(m)

4.5

5.5

5.5

3.9

3.4

透明度(m)

1.5

1.7

1.6

1.8

1.0

水色

5GY3/3        暗灰黄緑色

5GY3/3        暗灰黄緑色

5GY3/3        暗灰黄緑色

5GY3/3        暗灰黄緑色

5GY3/3        暗灰黄緑色

水温(℃)

表層(0.5m)

28.83

28.47

28.56

28.37

28.65

底層 (B-1m)

26.94

27.67

27.49

28.07

27.74

塩分

表層(0.5m)

22.8

24.3

16.1

19.5

20.4

底層 (B-1m)

29.2

27.3

27.3

27.4

23.4

DO(mg/l)

表層(0.5m)

8.21

8.48

6.88

5.49

8.61

底層 (B-1m)

3.04

4.82

1.06

5.14

2.62

DO(%)

表層(0.5m)

121.1

125.4

97.4

79.0

125.0

底層 (B-1m)

45.1

71.5

15.6

76.8

38.0

pH

表層(0.5m)

8.29

8.48

8.24

8.23

8.36

底層 (B-1m)

8.17

8.30

8.11

8.38

8.03

濁度

表層(0.5m)

3.2

2.5

4.0

3.5

6.7

底層 (B-1m)

3.7

1.9

8.1

2.4

7.0

電導度(mS/cm)

表層(0.5m)

38.9

41.0

28.2

33.5

35.0

底層 (B-1m)

46.9

44.8

44.6

45.3

39.0