東京湾の浅場に着底した2枚貝の子供たち(続き)

 前号(内湾調査平成22年2月HP)で、アサリなどの稚貝3種を紹介しました。今回、馴染み深い別の2種について紹介します。写真上の白いプレートの一片は1㎜であることから、左の貝は3㎜弱、同右は2㎜弱の個体です。
さて、右の貝は小さくても、親貝の特徴(殻が膨らみ、弱い放射溝が形成)がよく出ています。寿司ネタになる可食部の足が黒い貝といえばピンとくると思いますが、標準和名も寿司屋さんで呼ぶ名称と同じトリガイFulvia mutica(Reeve)です。本種は内湾の5~30mの砂泥底に生息し、一年で7~8㎝程度に成長する個体もあり、寿命は多くは1年といわれています。
 もう一方の左の貝は、放射肋(縦に走るライン)が30本少しある貝で、親貝より面長な顔つき?です。アカガイに似ており、刺身や煮つけで賞味されるサルボウガイScapharca subcrenata(Lischke)と推定できました。本種は内湾の潮間帯下部から10~20mの砂泥底に生息しており、ヘラでこじ開けて中身を出す際に、アカガイ(赤貝)と同様に少し赤く染まります。これは、血液中で酸素運搬の役割をもつヘモグロビンと似たものを持つているからです。

サルボウガイとトリガイの稚貝

写真1 サルボウガイとトリガイの稚貝

平成22年3月5日 内湾水質調査結果

内湾調査結果