内湾で冬春期に出現するクラゲはエチゼンクラゲの1,000分の1

 ひと口にクラゲと言っても形、色合い、大きさなど様々です。近年、大量発生して日本海沿岸を成長しながら漂流し、津軽海峡を経て太平洋側の定置網漁業や底曳網漁業にも甚大な被害を与えたエチゼンクラゲ(越前水母)は、傘の直径が約2メートル、重さが150キログラムになります。一方、東京湾で大量発生して底曳き網漁業に被害を与えたり、過去には火力発電所の冷却水の取り入れ口を塞いで問題化したミズクラゲは、厚い寒天質の傘をもち直径が約20~30センチになります。潮干狩りの際、寒天状の塊が干潟に転がっているのを見た方もいらっしゃるでしょう。
 さて、冬春期の東京湾で目合い1.25ミリの調査用の網を曳いていると、写真に見られるように学名 Rathkea octpunctata(SARS)とも関係する8個の眼点をもつクラゲが大量に入網し、網上げがきつくなることがあります。実は、写真の下側に白いプレートが見えますが、一片は1ミリの長さですから、傘の直径が2ミリにもならない超小型のクラゲであるとわかります。標準和名はシミコクラゲと呼び、分類図鑑には傘の高さ2ミリ、幅1.7ミリと記載されています。なお、幅2ミリとしてエチゼンクラゲと比較すると、約1,000分の1のサイズになります。

シミコクラゲ

写真1 大小のシミコクラゲとコペポーダ類

注:下段の白いプレートの一片は1㎜

 

平成22年1月25日 内湾水質調査結果

内湾調査結果