平成17年6月 内湾調査

アマモ場の生物や初夏の内湾生物

写真1 アマモ

上の画像は、昨年11月にお台場に移植したアマモです。ここは、最も潮がひく大潮の水面からさらに40cm深い砂泥地で、アマモが干上がらず葉体が立つぎりぎりの場所です。株数は、6月上旬現在、衰退することなく、3月と同様に移植時の約2倍、畳1畳程が緑の景観をなしています。
一般的にアマモは、1. 水中や底泥からの栄養塩吸収、2. 葉が枯れても徐々に分解され腐食性生物による食物連鎖に乗る、3. 葉上の付着性微細藻類と自らの光合成で水中に酸素を出すなどの環境浄化作用のほか、4. 生物の産卵場、餌場、住処の提供などの利点が考えられています。
さて、この1畳ほどのアマモ場で、下の画像のようにオオワレカラが増殖し、それを食べるメバルの稚魚が集まる光景が見られました。


写真2

写真3

6月の底曳き網調査でアカエイ、マハゼ、ジンドウイカなども捕れました。
右上の画像は、アカエイの尾部にあるペンチで切り取った長さ5cmから6cmの棘。鋭利である上、強い毒があるため浅場を歩く時には十分に注意する必要があります。

写真4


写真5


写真6

写真7

お台場で行われる"東京ベイクリーンアップ"での環境学習用に同水域で生物採集を行いました。干上がった石の裏(左上の画像)には、巻き貝のイボニシが見られますが、黄色のサヤ状のものは、これらの卵塊です。大潮時に1から2時間ほど干上がってしまう場所の大きな石を反転させたところチチブがいました。また、同様に1時間ほど露出しそうな石の下にも71cmほどのウナギがいました(下の画像)。いずれも生きており、意外な場所でも生息場にしているものです。

写真8


写真9


写真10

写真11


平成17年6月 内湾調査

調査地点はこちらから

調査位置 st.1 羽田洲 st.2 羽田沖 st.3 15号地 st.4 三枚洲 st.5 お台場
時刻 11:11 11:53 9:50 9:15 13:13
天候 d d d d d
風向/風力 S/2 S/3 SSW/3 SSW/3 S/2
気温℃ 31 30 30 30 31
水深(B)m 9 7 7 5 3
透明度m 2.5 1.2 1.0 1.0 1.0
水色 dk-YG dk-YG dk-YG dk-YG dk-YG
水温 表層 23.8 23.9 24.3 24.8 24.8
低層(B-1)m 21.8 22.7 23.2 23.2 23.8
塩分 表層 28.0 26.1 26.3 24.4 23.1
底層(B-1)m 29.2 28.8 29.1 28.7 24.1
pH 表層 8.31 8.45 8.52 7.28 8.56
底層(B-1)m 8.18 8.44 8.40 7.09 8.37
DOmg/L 表層 6.31 6.62 7.82 7.59 14.62
底層(B-1)m 4.88 8.19 7.24 7.54 12.68
濁度 表層 2.9 3.4 5.5 4.9 8.1
底層(B-1)m 5.7 3.6 4.7 4.43 12.2
電気伝導率 表層 4.21 4.05 4.11 3.67 3.60
底層(B-1)m 4.53 4.46 4.49 2.7 3.76