葛西臨海公園“東なぎさ"の2枚貝調査から見る干潟の変化

 葛西臨海公園前の“東なぎさ"では、出水時の河口攪乱の影響で生物が大量死することがあります(HP東京湾便り:平成19年9月参照)。これは砂泥の一時的な巻き上げで水中の酸素量が欠乏したり、鰓を損傷したりするほか、淡水が長期間滞留するなど様々な理由が考えられます。そこで今回、河口干潟における低塩分化の影響を検討するため、“東なぎさ"の東端で2枚貝の調査を行いました。
図1にアサリ、シオフキ、ヤマトシジミの殻長別・採集量を示しました。各種類の貝の成長を考慮すると、淡水と海水が混じりあう塩分の甘い汽水域を好むヤマトシジミは複数の年級群で構成される(=長期間生存)のに対し、アサリやシオフキは前年秋生まれから当年生まれの1年未満の個体でほぼ構成されていました。これらの結果は、当該水域が汽水性種に都合のよい環境に変化しつつあることを示唆しているといえます。なお、内湾漁業者によれば当該水域でヤマトシジミが確かに増えてきたとの情報があります。

調査場所の全景

写真1 調査場所の全景(後方はディズニーランド前のホテル)

採取した貝類

採取した貝類

写真2.3 採取したアサリ、シオフキ、ヤマトシジミ

殻長別採集量

図1 2枚貝3種の殻長別・採集量

平成21年7月7日 内湾水質調査結果

水質調査結果