平成18年1月 内湾調査結果

お台場に移植したアマモの生育状況

 昨年11月9日にお台場の2地点で各170本移植したアマモの株数は、下表のように推移しています。
移植時の影響で、12月16日の株数は一旦減少していますが、1月8日には増加しています。
 しかし、同8日の調査(以下の写真)では、褐色の小さな藻類が草体を覆ってしまい、光の吸収が妨げられるため生育上好ましくないことがわかりました。
 左上と右上の写真は、いずれもB地点のアマモですが、地盤が軟らかくスナモグリの穴が多い後者(右上)は、アマモの衰退が目立ちました。
 一方、左下と右下の2つの写真は、A地点のものですが、新しい葉体が見られるものの、全体に衰退気味でした。

写真1


写真2


 写真3

写真4


アマモ株数の推移


平成17年度のマアナゴ採捕量の推移

 アナゴは寿司屋さんや、スーパーなどの惣菜コーナーでも、衣をまとった天麩羅が目につきますが、漁獲状況や生態はあまり知られていないようです。
 東京湾奥の羽田沖でも、東京都の漁業者によりアナゴが漁獲されていることをご存じでしたか!?(図1)
 また、日本の遙か南の海域からウナギと同じように幼生が流れてくるからこそ、東京湾でも漁獲できることをご存じでしたか!?

 近年、ルーツ探しの調査が精力的に行われていますが、未だハッキリした産卵場は不明で、東シナ海や台湾方面が主産卵場でないか・・と考えられています。
 宇宙時代到来とかハイテク時代であっても、海底で繰り広ろげられている魚の生態はよくわからないことが多いものです。

 さて、南方から流れ着く幼生は、透明で平たく"ヤナギの木の葉"のような形をしていることから、葉形幼生(=レプトセファルス)と呼ばれていますが、東京湾に入ってから変態し、ミミズのように丸くなり体長も短くなります。そして夏期には20数cmの大きさになり、このサイズのものをメソアナゴと呼んでいます。

 過去、20年間の羽田空港周辺4地点における標本船の漁獲量(東京都内湾漁業環境整備協会資料の解析)は図2のように推移しており、平成17年度(17年7月から18年4月まで)は過去最低の水準です。
 なお、前述した東京都の漁業者による漁獲量(図1)も、平成元年以降最低を示しています。


平成16年春に東京湾奥の浅場で採集された幼生

平成16年春に東京湾奥の浅場で採集された幼生。
下は少し肉厚になった葉形幼生(99mm)、
上は変態して体長が短くなった稚アナゴ(79mm)

大田漁師のアナゴ筒漁具

大田漁師のアナゴ筒漁具。
かご網から塩ビパイプの筒漁に変化。

羽田空港

羽田空港

早期に来遊した幼生は、夏期には20数cmまでに成長する個体もあります

早期に来遊した幼生は、夏期には20数cmまでに成長する個体もあります


漁獲されたアナゴ

漁獲されたアナゴ


図1 東京都のアナゴ漁獲量(トン)

図1 東京都のアナゴ漁獲量(トン)


図2 標本船の漁獲量

図2 標本船の漁獲量


平成18年1月24日内湾調査結果

調査位置 st.1羽田洲 st.2羽田沖 st.315号地 st.4三枚洲 st.5お台場
時刻 10:23 10:50 9:37 9:00 11:38
天候 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ
風向/風力 NE/1 E/1 NE/1 NE/1 NW/1
気温℃ 10 10 11 11 11
水深(B)m 4 8 6 3 2
透明度m 3 3 2 2.5 2
水色 10GY3.0/2.0 10GY3.0/2.0 2.5G3.0/4.0 2.5G3.0/4.0 10GY3.0/2.0
水温℃ 表層 8.6 8.8 8.3 8.6 8.8
低層(B-1)m 8.5 9.0 10.3 9.0 9.8
塩分 表層 27.7 28.8 27.7 28.0 27.7
底層(B-1)m 28.8 29.2 30.0 29.3 28.9
pH 表層 8.17 8.19 8.06 8.09 8.10
底層(B-1)m 8.19 8.13 8.03 8.04 8.04
DO mg/L 表層 11.88 11.85 13.60 11.76 10.54
底層(B-1)m 10.16 10.93 11.28 10.29 9.74
濁度 表層 5.8 2.5 5.7 5.0 4.7
底層(B-1)m 6.8 4.1 12.5 6.5 6.7
電気伝導率 表層 4.75 4.74 4.59 4.64 4.58
底層(B-1)m 4.76 4.81 4.92 4.82 4.73