羽田沖で採集されたコベルトフネガイ

 羽田国際空港沖の浅場で小型底曳網による生物調査を毎月1回行っています。今回は、平成20年7月に採集した珍しい形の二枚貝を紹介します(写真1、2)。名前は、コベルトフネガイArca boucardiと呼び、前半部は日本の貝類研究にかかわりの深かったドイツの貝類学者の名前から、後半部は貝の形から思い浮かぶ船をもちいて名づけられたようです。 

 本種は、北海道南部から沖縄までの波打ち際から水深が20m付近までの岩場や礫場に分布し、生物分類上はフネガイ科に属します。この科には、刺身で食したり、煮付けて缶詰めとして製品化されるアカガイやサルボウガイなども属しています(写真3)。これらの貝の殻頂から放射状にのびるスジ(放射肋)をみれば、同じ仲間であると少し納得ができそうです。

 なお、コベルトフネガイの殻を開くと、中央に平たい糸を張ったような細長い足糸が見えます(写真2の矢印)。波のある岩場に生息する本種は、波穏やかな内湾に棲むアカガイやサルボウガイとは異なり、この足糸で岩や礫に張り付いて体を安定させています。

写真1 写真2

 写真1 コベルトフネガイ        写真2 コベルトフネガイの内部

  (写真下の一目盛は1㎜)        (矢印で示す黒褐色部分が足糸)

写真3

写真3 アカガイ(上)とサルボウガイ

 

平成24年12月17日 内湾水質調査結果  

 

St.1 羽田洲

St.2 羽田沖

St.3 15号地

St.4 三枚洲

St.5 お台場

調査開始時刻

9:07

10:30

11:45

12:35

14:05

調査終了時刻

9:42

10:51

12:10

13:15

14:45

底曳開始緯度

N35 31 51.7

N35 33 20.7

N35 36 46.6

N35 37 16.8

N35 37 45.1

底曳開始経度

E139 47 38.5

E139 47 51.4

E139 50 15.1

E139 51 21.3

E139 46 16.4

底曳終了緯度

N35 31 52.5

N35 33 19.9

N35 36 46.4

N35 37 16.1

N35 37 45.7

底曳終了経度

E139 47 39.2

E139 47 52.1

E139 50 14.0

E139 51 20.5

E139 46 17.1

曳網距離(m)

31

30.25

32.77

32.68

27.27

天候

風向

N

N

N

N

N

風速(m/sec)

8.4

12.7

3.5

13.5

5.5

風力

5

6

3

6

4

気温(℃)

8.9

8.8

8.5

8.7

8.8

実測水深(m)

3.7

5.1

5.2

4.2

2.9

透明度(m)

3.4

3.6

2.3

2.0

3.6

水色
(フォーレルウーレ・水色計)

15

16

16

17

17

水温
(℃)

表層(0.5m)

13.0

12.5

12.9

13.0

12.8

底層(B-1m)

13.3

13.1

13.5

13.4

13.1

塩分

表層(0.5m)

30.8

29.9

31.7

30.9

30.2

底層(B-1m)

31.0

30.5

32.1

31.8

30.2

DO
(mg/l)

表層(0.5m)

6.4

6.7

7.2

6.5

6.3

底層(B-1m)

6.3

6.3

6.2

6.0

5.9

DO
(%)

表層(0.5m)

76.1

79.1

86.1

77.3

74.3

底層(B-1m)

74.9

75.3

75.7

71.8

69.6

pH

表層(0.5m)

8.05

8.00

8.04

7.95

7.91

底層(B-1m)

8.08

7.87

7.98

7.94

7.90

濁度

表層(0.5m)

2.0

2.0

4.0

5.0

2.0

底層(B-1m)

2.0

3.0

3.0

5.0

2.0

電導度
(mS/cm)

表層(0.5m)

36.64

35.29

37.57

36.77

35.92

47.29

45.97

48.59

47.38

46.48

底層(B-1m)

37.00

36.37

38.36

38.06

36.12

47.42

46.57

48.94

48.59

46.24