平成18年10月 内湾調査結果

アマモの花枝培養と種子の回収

 6月14日に走り水で採取したアマモの花枝211本を伊豆大島の事業所へ翌15日に運び、水槽内に収容。10月3日まで海水を掛け流しておき、この間に水槽内に自然落下した種子を回収しました。
 回収した種子は全部で約10,070粒、うち水槽底の藻類などに覆われて発芽してしまった種子や、飽和食塩水下で浮いてしまった種子を除く、優良種子は9,362粒回収できました。
 これらは、お台場での播種試験に晩秋以降使用する予定です。

神奈川県走り水海岸での花枝採取

神奈川県走り水海岸での花枝採取

伊豆大島着

伊豆大島着

花枝を適当に束ね、ブロックにくくりつける

花枝を適当に束ね、ブロックにくくりつける

大島事業所の水槽に花枝を収容

大島事業所の水槽に花枝を収容

稲のように種子が見える

稲のように種子が見える

10月3日の水槽底は、葉体の形はなく種子が中心

10月3日の水槽底は、葉体の形はなく種子が中心

ネットで種子を回収

ネットで種子を回収

種子以外のゴミなどを除去

種子以外のゴミなどを除去

回収した種子

回収した種子

種子の拡大

種子の拡大


お台場のホンビノスガイ大量に死亡!

 お台場の人工干潟では、アサリ、シオフキ、マテガイ、オオノガイ、バカガイ(寿司ネタのアオヤギ)、ナミガイ(食品売り場で白ミル)などの他、北米産のホンビノスガイなど様々な2枚貝が生息しており、5月下旬以降には一時的な貧酸素水の影響で、ホンビノスガイを除くアサリ、シオフキ、マテガイなどが大量死したことをご紹介してきました(本HP6月号参照)。
 ところが今回、アサリなどより長期間の貧酸素水に耐えることができ、貧酸素状態に陥りやすい深場(基準海面より1mから1.5m深く、ヘドロ化が進む)に生息するホンビノスガイだけが、人の眼にも触れない海底で累々と死んでいるのが潜水により観察されました。
 このホンビノスガイの大量死は、高水温・貧酸素水塊の影響以外に底泥付近で発生した硫化水素の影響が加わったのかもしれません。
 いずれにせよ、干潟や浅場があることで、その場に適応できる2枚貝など様々な生物が増えることができるものの、東京湾奥の生物は常に危険にさらされています。
 今後、生物豊かな東京湾を再生していくためには、貧酸素状態に陥る原因となる富栄養化の進行を抑える工夫と努力を一人一人が惜しまないことが大切であることを生き物達は示しています(本HP6月号で詳細に触れています)。

ホンビノスガイ生貝

8月23日 ホンビノスガイ生貝(還元環境下に生息するため、本来白いはずの殻は黒くなっています)

死亡し泥中に埋もれた死骸 10月4日 死亡し泥中に埋もれた死骸。25×25㎝枠内に12,13個体ほど。なお、白いカビ状物質は底泥上の菌類と考えられます

5月下旬頃死亡し集積したアサリなど2枚貝の殻上に生息するマガキ

10月4日 5月下旬頃死亡し集積したアサリなど2枚貝の殻上に生息するマガキ

泥上のマガキ 10月4日 泥上のマガキ

マガキ

10月4日 上記貝の殻表面の付着物を取り除くとマガキであることが明瞭に・・

10数mmに生長したアサリが多数 10月4日 干潟波打ち際の砂混じりの場所では、10数mmに生長したアサリが多数みられました


平成18年10月11日内湾水質調査結果

調査地点はこちら

調査位置 St.1 羽田洲 St.2 羽田沖 St.3 15号地 St.4 三枚洲 St.5 お台場
時刻 8:56 9:23 10:35 10:09 11:12
天候 晴れ 晴れ 晴れ 曇り 曇り
風向/風速(m/s) S/2.0 S/2.4 S/1.2 無風 S/3.0
気温(℃) 21.5 21.4 22.0 21.7 23.8
実測水深(m) 4.4 7.4 7.0 6.0 4.2
透明度(m) 1.6 1.2 1.2 1.0 1.5
水色 10GY3/4 10GY3/4 10GY3/4 10GY3/4 10GY3/4
(暗緑色) (暗緑色) (暗緑色・白濁あり) (暗緑色・白濁あり) (暗緑色)
水温(℃) 表層 20.58 20.68 20.52 20.28 21.14
底層(B-1)m 20.89 20.97 21.02 20.88 21.37
塩分(PPT) 表層 25.84 22.78 21.92 16.23 19.39
底層(B-1)m 30.36 31.80 31.21 30.02 29.55
pH 表層 7.94 7.87 7.90 7.86 7.65
底層(B-1)m 7.70 7.88 7.69 7.93 7.68
DO(mg/L)
(%)
表層 7.34 7.10 7.33 7.55 6.27
93.5 91.9 95.6 92.9 78.8
底層(B-1)m 3.54 4.09 4.21 6.42 3.17
48.2 55.3 56.9 85.3 43.6
濁度(ppm) 表層 5.1 6.5 14.0 11.1 6.4
底層(B-1)m 7.5 8.6 12.1 4.3 4.5
電気 伝導率
(mS/cm)
表層 40.67 35.96 32.54 24.65 31.09
底層(B-1)m 46.63 48.63 47.85 46.22 45.53