干潟に出現するマテガイについて

 東京湾奥の干潟では、細長くて角ばったマテガイSolen strictus Gouldが普通に生息しています(写真①)。しかし、砂中深く潜っているため、潮干狩りでは気づきません。ところが、赤潮プランクトンの異常発生や、大出水による河口攪乱、夏場の貧酸素化などの環境異変があると、干潟一面に殻が突き出た状態(写真②)で見ることができ、数の多さに驚くことがあります。たまたまこのような場に出くわし、労せずして仮死状態の貝を大漁する人もいます。通常、煮付けやバター炒めなどで食べることができます。

 さて今回、そのマテガイと推定される赤ちゃんを紹介します。写真③と④は、平成23年2月に多摩川河口干潟で地曳網により採集した殻長約11㎜の個体です。また、写真⑤は過去に湾奥で採集した約3㎜の個体です。写真⑤はマテガイと似つかない別種に見えますが、写真④の矢印部分の殻長をよく観察すると、同種であると納得できそうです

 

写真1  写真2写真2-2 

  写真①細長い2枚貝がマテガイ 写真②砂面上に突き出た瀕死の個体(野島海岸と東なぎさ)

写真3 写真4

写真③マテガイと推定される個体 写真④左の個体の殻頂部の拡大(写真の1目盛は1㎜)

写真5

写真⑤マテガイと推定される個体(写真の1目盛は1㎜)

 

平成23年3月28日内湾水質調査結果

 

St.1 羽田洲

St.2 羽田沖

St.3 15号地

St.4 三枚洲

St.5 お台場

調査開始時刻

10:15

11:00

9:28

9:00

11:50

調査終了時刻

10:40

11:35

9:50

9:23

12:15

底曳開始緯度

N35 31 49.86

N35 33 15.23

N35 36 47.41

N35 37 21.77

N35 37 46.56

底曳開始経度

E139 47 36.61

E139 47 53.80

E139 50 16.35

E139 51 22.05

E139 46 15.97

底曳終了緯度

N35 31 49.62

N35 33 14.71

N35 36 46.62

N35 37 22.96

N35 37 46.01

底曳終了経度

E139 47 38.09

E139 47 55.12

E139 50 15.25

E139 51 21.94

E139 46 14.60

曳網距離(m)

38±3

37±3

36±3

36±3

38±3

天候

快晴

快晴

快晴

快晴

快晴

風向

NNE

SE

 -

 -

E

風速(m/sec)

1.1

2.6

無風

無風

3.0

風力

1

2

0

0

2

気温(℃)

9.0

9.2

10.2

8.9

10.5

実測水深(m)

2.8

5.7

5.9

4.4

3.5

透明度(m)

4.6

3.4

3.4

3.5

4.0

水色

5GY3/3
暗灰黄緑色

5GY3/3
暗灰黄緑色

5GY3/3
暗灰黄緑色

5GY3/3
暗灰黄緑色

5GY3/3
暗灰黄緑色

水温
(℃)

表層
(0.5m)

11.49

11.67

11.00

11.04

11.80

底層
(B-1m)

11.14

10.85

11.87

11.61

11.86

塩分

表層
(0.5m)

26.5

25.7

19.6

23.6

28.1

底層
(B-1m)

30.4

29.7

32.0

31.2

29.0

DO
(mg/l)

表層
(0.5m)

8.59

10.70

9.94

10.63

9.27

底層
(B-1m)

9.50

10.67

7.75

9.52

9.33

DO
(%)

表層
(0.5m)

93.1

115.9

102.2

112.1

102.2

底層
(B-1m)

104.8

116.4

87.8

106.7

103.6

pH

表層
(0.5m)

8.20

8.40

8.21

8.36

8.26

底層
(B-1m)

8.35

8.44

8.30

8.37

8.29

濁度

表層
(0.5m)

1.4

1.2

2.3

1.6

0.8

底層
(B-1m)

0.5

1.7

1.5

1.1

1.0

電導度
(mS/cm)

表層
(0.5m)

30.7

30.0

23.1

27.4

32.6

底層
(B-1m)

34.5

33.5

36.8

35.8

33.7