夏秋期にみられる二枚貝の大量死亡!

  日差しが強く気温が上昇する夏期以降、表層水が温められて上下の海水交換が滞りやすくなり、表層からの酸素補給が途絶えます。また、有機懸濁物の多い湾奥では、それを分解しようとする好気性細菌が増え、その呼吸作用で貧酸素化が一段と進みます。このほか、貧酸素水塊中では嫌気性細菌が増え硫化水素を発生させます。その結果、移動性の低い二枚貝は、種類や個体の大きさによる酸素耐性等に程度の差こそあれ、大量に死亡します。

 今回、紹介する二枚貝は、平成22年10月に若洲で採集したアサリ、アカガイ混じりのサルボウガイ、外来種のホンビノスガイですが、死後それほど経っていない個体です。殻長は、1㎜前後からサルボウガイのように10数㎜に成長した個体も混じっており、いずれも発生時期が異なる群れだとわかります。浮遊期の幼生が何度か移送されて当該水域に着底したものの、成貝になることができずに一斉に死滅したといえます。東京湾奥ではこのパターンがほぼ毎年のように繰り返されており、水質改善が望まれます

写真1 写真2

底曳網で採集したゴミ混じりの残渣     残渣から取り出したアサリの死貝

写真3 写真4

同アカガイとサルボウガイ         同ホンビノスガイ

 

平成24年9月3日内湾水質調査結果

 

St.1 羽田洲

St.2 羽田沖

St.3 15号地

St.4 三枚洲

St.5 お台場

調査開始時刻

9:04

10:38

11:52

12:51

14:32

調査終了時刻

9:52

11:04

12:30

13:40

15:00

底曳開始緯度

N35 31 53.4

N35 33 33.5

N35 36 42.6

N35 37 20.9

N35 37 47.4

底曳開始経度

E139 47 40.2

E13947 45.2

E139 50 14.9

E139 51 12.3

E139 46 14.5

底曳終了緯度

N35 31 52.6

N35 33 34.5

N35 36 41.6

N35 37 19.3

N35 37 47.9

底曳終了経度

E139 47 41.0

E139 47 45.8

E139 50 13.9

E139 51 12.1

E139 46 13.2

曳網距離(m)

31.8

34.3

39.7

49.6

36

天候

風向

SE

SE

SSE

SE

S

風速(m/sec)

1.2

2.0

3.0

3.9

4.7

風力

1

2

2

3

3

気温(℃)

29.8

30.4

31.4

30.3

29.7

実測水深(m)

3.6

4.7

4.7

3.1

2.7

透明度(m)

1.4

1.3

1.3

1.4

1.1

水色
(フォーレルウーレ・水色計)

18

18

18

18

19

水温
(℃)

表層(0.5m)

27.8

28.6

29.5

29.7

28.9

底層(B-1m)

28.1

28.6

28.6

28.5

28.8

塩分

表層(0.5m)

16.7

18.4

19.2

10.2

22.2

底層(B-1m)

22.0

24.6

26.9

27.5

22.8

DO
(mg/l)

表層(0.5m)

3.1

10.2

8.1

4.5

6.9

底層(B-1m)

4.9

3.7

4.8

3.5

4.9

DO
(%)

表層(0.5m)

44.1

148.3

120.1

63.2

102.8

底層(B-1m)

71.8

56.1

73.8

54.2

73.4

pH

表層(0.5m)

7.77

8.47

8.26

7.90

8.12

底層(B-1m)

7.83

8.20

8.15

8.32

8.02

濁度

表層(0.5m)

6.0

18.0

10.0

9.0

8.0

底層(B-1m)

9.0

12.0

11.0

7.0

7.0

電導度
(mS/cm)

表層(0.5m)

29.74

32.40

33.51

20.52

38.52

27.39

29.90

29.36

19.62

35.45

底層(B-1m)

37.79

43.71

45.91

46.55

38.88

35.27

44.12

42.22

43.00

35.92