西村ほか 

 北硫黄島はN25°26′、E141°17′にある面積5.5km2の島で、マルサザエ漁業が行われている。マルサザエの増殖の基礎資料を得るため調査を行った。
 1986年北硫黄島磯根漁場調査(西村・三木・木村):西村・石野村地先の潮間帯の枠取を行い、沖に向ってロープを張って枠取りにより出現動物全てを調査した。出現貝類は西村・石野村の地先でそれぞれ30種・21種で共に採集数はマルサザエが多かった。生殖腺の熟度指数(7月23曰採)は♀42.0、♂27.2であった。この他生物相調査を潜水と潮間帯で行った結果、貝類では従来の記録の倍以上の種を確認した。
 1984年北硫黄島磯根漁場調査(西村・倉田):6月29曰上陸して南部を除く地域の海岸地形・海産生物相・マルサザエの生息状況を調査した。貝類23種を採集し、目録を作成した。
 北硫黄島産マルサザエの体型について(青木):1980年8月採集したマルサザエの各部位の測定を行い、殼高と殻幅の関係Y=2.9828+0.8628Xを始め17の関係式を得た。
 マルサザエの移殖事例(1979)(青木・村井・木村・倉田):父島の北西にある西島南岸に
1,000個体を11月に放流した。10曰後の分散は2m内に大半がみられ、39日後でも5m以内に密集していた。

研究要報193(1988.3)

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