高橋・枡内・斎藤・中村

 都内湾の環境の悪化が進んだが、かつてのように海の自然に都民が親しめるような行政施策に資するための調査を昨年に続き行った。
 三枚州における貝類相とアサリの分布調査はカデラートによる採集で50測点で実施した。優占種はアサリで96~97%を占め、近年貝類相は単純化の傾向がみられた。アサリの分布は三枚州と高州間の潮通しより北西部分に多く、高州は皆無に同様の測点が半数を占めた。
 内湾の魚類相は主として投網と地曳網により採集調査した。計26種がみられ前年とほぼ同様であった。スズキ・コノシロ・サッパ等が優占していた。マハゼは本年発生量も多く夏期の減耗も少なかった。スズキは回遊状況を知るため75尾ポリ製タッグの標識放流を実施した。
 内湾の水質について20測点上下層、11項目の調査を9月に行うと共に同一地点とプランクトンを調査した。同時に底質硫化物について30測点の測定を行った。
 マハゼの減少原因を調査してきたところ、内蔵に多量の線虫が寄生していることがわかった。寄生率は海で高く、河川では低い。7・8月は寄生率・内蔵癒着率共体長に比例し、9月以降は変る。マハゼの異常斃死との関係は寄生魚が低酸素に弱い可能性があると考えた。

研究要報125(1976.3)

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