高橋・枡内・斎藤・中村

 かって豊饒を誇った東京都内湾も漁業補償により漁民の多くが転業し、漁業生産も殆んと消滅状態となった。このため調査を中止していたが、都民の憩いの場に資するため約10年間空白であった内湾の生態調査を再開した。
 二枚州における貝類相を干潟はカデラート法により、沖合は熊田式ドレッヂで調査した。干潟部では春9種、秋8種計10種の貝が出現し、共にアサリが優占種(83%以上)次でサルポウであった。沖合部春6種、秋8種で計10種類であったが、春はとくに優占種はなかった。秋にはアサリ・ホトトギスガイが多くとれたが、優占種といえるかどうか明らかでない。
 二枚州干潟のアサリの分布は一様でなく、また春・秋で高密度域が移っている。調査域の密度は春662個/m2 、秋40個/m2であった。
 都内湾の魚類相の調査を小型地曳網と投網により実施した。葛西地区で23種、中央地区で10種、羽田地区で12種、計27種がみられた。マハゼは6月には葛西より羽田の方が単位漁獲努力当りの漁獲は多かった。両地区の成長に相違がみられた。スズキの成長・生殖腺の熟度・食性等の一部が判明した。
 都内湾の水質、底質、プランクトンについて1973年7月に実施した。

研究要報111(1974.3)

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