西村

 貝類の種苗生産技術の進歩はめざましいものがあり、当場においても従来から実施しきた業績もあるが未公表のものも多いので、今一度整理・検討して今後の発展に資する。
 フクトコブシ:産卵期は8~10月で盛期は9月である。産卵誘発に干出と温度刺激を併用したがさらに検討の必要がある。受精卵は卵径0.2mmで7時間でふ化し、約3日で匍匐期に入る。幼生は付着珪藻を餌料とし、1年で殼長約24mmとなる。年令と殼長の関係が明らかとなった。商品サイズ(45mm)には18カ月で達し、生物学的最小型は31.1mmである。
 サザエ:産卵期は7~9月で干出刺激による誘発が効果的である。受精卵は卵径0.25mmで11時間でふ化し、約4日間で匍匐期に入る。幼生の飼育はフクトコブシと同様で、1年で殻高約13mmとなる。
 アワビ:伊豆諸島では八丈島まで分布するが、漁獲は大島のみで約5トン/年である。産卵期は10~12月で紫外照射が誘発に効果がある。受精卵は卵径0.25mmで13時間でふ化し、約5日で匍匐期に入る。1年でメガイ・クロは30mm、マダカは35mmに成長する。

研究要報120(1975.3)

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