鈴木・西村・加藤・伊藤・田中・村井・斎藤・(岩本・庵谷)

 本研究は「多摩地域の自然の保護に関する研究」の一部で多摩川の水生生物の生態、川と人との関わりに焦点をおき、その保護・回復策を検討し、提言を行った。
 過去の多摩川について、アユ・河川の改変・マス増殖・漁獲量・魚類相等資料により取りまとめた。現況は漁業権と増殖の他、上流域の水温、日原川の汚濁源調査結果を報告した。
 魚類について1973年より5ヵ年間本支流合せて27点の採集を行った。10科25属27種が採集された。地域的に魚類相の特徴を記すと共に種別の検討も加えた。環境指標として「汚濁に耐えない
種」と「耐えうる種」の識別は可能と思われた。魚類保護のため5項目を提案した。
 底生生物は1971年より8年間の調査の結果を種別の分布状況として記した。生物学的水質判定法DI、BIにより地域の汚染状況を示した。又増水の影響、冬期の流下量の日周変化、及びヤマメの冑内容物の調査を行った。
 水生植物は1974年より3年間、6地点を設けコードラート法、クロロフィルa法で調査した。藻類94種、藍藻7種、ミドリムシ類10種、その他4種、顕花植物4種認められた。上・中・下流を特徴づける種を一覧にした。又、クロロフィルa量の変動パターンも同様に3類別できた。カワノリの生育地図を作成した。

研究要報141(1779.3)

141.pdf [14759KB pdfファイル]