塩屋・梶沼

 赤潮による水産生物の被害の未然防止、的確な予報の可能性を考究するため1956年5月以降、赤潮の構成生物・出現状況・発生区域等及び水産生物の被害原因について調査した。
 赤潮は4~11月に出現し、5~8月には殆んど連日みられる。構成種はFlagelata,Ciliata,Diatomeaeに大別され、Microplanktonは年間40余種にのぼり、特にSkeletonema Costatumの出現が多い。
 発生場所は内湾の南西部に一定しており、ここから拡大し、ここで終焉する。この場所は水の流動が少なく、栄養塩が多い。赤潮の移動は潮汐流によるよりも風による場合が大きい。
 赤潮時の表層水のPHは高く、酸素飽和度も殆んど過飽和となり、構成生物の数量とそれぞれ相関傾向にある。赤潮の出現は降水・日照と関係があるものと考えられる。
 夏期に起る貝類の蕊死原因は十分に明らかにできなかった。斃死前、底層水の高鹹・低温・溶存酸素の少ない水塊が漁場を覆うことが認められ、これが斃死と関係深いと考えられる。赤潮との関連はさらに検討を加えたい。

研究要報12(1958.3)