小堀・田中・原・清水・飯村

 1971年度中に都内の養魚池に発生した疾病は、10種で被害の大きかったものはIPNと白点病で原虫類の寄生症は前年より減少した。
 抗糖尿病剤と抗炎症剤の投与によるIPNの予防試験を行った。ニジマス稚魚に経口投与の結果、抗プラスミン・抗炎症剤では成長・生残ともによく、ウィルス陰性、病理組織学的にも健全であった。抗糖尿病剤ではトルブタマイドの区で成長・生残悪〈、塩酸ブチルヒグアナド区では成長悪く、生残はよかった。糖代謝改善剤では成長・生残率はよかったが、ウィルスの存在が認められた。
 ニジマス稚魚に抗糖尿病剤・抗炎症剤を経口投与したときの飼育成績に及ぼす影響を調べた。塩酸ブチルヒグアナドでは摂餌が悪く、死亡多く、トルブタマイドでは摂餌がやや悪く、成長もやや遅れた。
 せっそう病ワクチンの接種試験をヤマメを用い、腹腔接種により行った。1年魚にせっそう病が発生せず、ワクチン・多価ワクチンの接種でも生残率に差はなかった。
 せっそう病治療試験のためニジマスに病菌を接種し、オキソレニン酸を投薬したところ、魚体重当り3~5mgの投与を5日間程度続けることにより効果のあることがわかった。

研究要報94(1972.3)

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