西村・井上・工藤・斎藤

 ニジマス親魚に不活化したIHNウィルスを接種し、経時的に中和抗体価を測定し、抗体産生の有無、産生個体の出現率を調べた。奥多摩分場と群馬水試の2系統で実施したが、両系統共に抗体産生個体の出現率は低かった。抗体価は奥多摩産より群馬産が高くなる傾向であったが、これは接種時期の相異と考えられた。
 IHNウィルスにより感染試験を行った。上記実験奥多摩産の親魚から個体別に採卵ふ化した稚魚を発育段階に従って用いた。ふ化直後と浮上時の2回、ウィルス濃度をかえて実施したが、抗体価の高い親魚に由来する稚魚はどちらも対照区より生残率が高かった。しかし、ただちにワクチン効果を判定するまでに至らなかった。
 IPNワクチンのニジマス親魚への免疫賦与試験を行い、抗体価の上昇が認められた。稚魚へのワクチン効果は明確な結果は得られなかった。
 せっそう病ワクチンについて、ヤマメ稚魚の経口投与による免疫賦与・感染・経皮ワクチン及び浸漬ワクチンのそれぞれの試験を実施した。

研究要報138(1979.2)

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